アポなし!新業態チェック(45)駅型フードコート「TOKYO FOOD BAR」

2010.10.04 378号 17面

 ◆秋葉原駅構内に新型フードコート こだわりの人気店がコラボ出店

 今年のゴールデンウイーク連休の直前に、東京秋葉原のJR秋葉原駅構内にある既存フードコートが全面リニューアルされた。「TOKYO FOOD BAR」と名付けられたこの新型フードコートは全7店舗。いずれも、運営する日本レストランエンタプライズが独自に、または外部企業とのコラボレーションで開発した新業態店舗が並ぶ。7店舗のうち、味噌ラーメン専門店の「味噌屋与六」だけは通路を挟んだゾーンに位置する独立店、それ以外の6店舗は客席を共有する販売カウンターのみのスタイルだ。

 6店舗の業態は、1927年に銀座で初めて豚カツ専門店として創業された「銀座梅林」と提携した豚カツ専門店、湘南で人気の新インド料理店「GARA中海岸」とのコラボによるインドカリー店「タンドールガル」、フランスのブルターニュ地方で3代続くパン職人「ル・ビアン・ミッシェル」がプロデュースするという本格ブーランジェリー(パン専門店)「トウキョウバックハウス」などといった、外部の有名店と提携したブランド。そのほか、アルコールも提供するカフェバー「カフェウィールバー」や生そば処「香月庵」、本場さぬきうどん「親父の製麺所」の各業態が並ぶ。

 各店のメニューは、「ホットコーヒー」(250円)、「濃厚味噌らーめん」(780円)、「かつ丼」(750円)、「バターチキンカリーAセット」(780円)、「かけそば」(350円)、「かけ(うどん)」(並290円)、「AKIBAハイボール」(480円)など、幅広い年齢に対応した品揃えが売り。

 同社では、将来はほかの駅構内にも展開したいと意欲を示している。

 ★けんじの評価

 たまたま食肉関係の仕事にかかわっていたこともあって、某メーカーの営業マンによる「秋葉原にできた銀座梅林の新店は大ヒットらしい」という情報を耳にし、早速秋葉原へ行ってみた。

 同フードコートは、2ゾーンを併せて約110席の規模。200席以上ある東京メトロ表参道駅の「マルシェ ドゥ メトロ」にはかなわないが、駅構内フードコートとしてはかなりの大型店だ。店内の客席はやや狭苦しい感じだが、これだけの規模があると次々とお客が入れ替わるので、空席を探すのにはあまり苦労しない。しかし、筆者が注文した「銀座梅林」のように、注文後に調理時間がかかる業態の場合は、アラーム付きの呼び出し端末を渡されて出来上がりを待たなければならない。1人客は、注文カウンター近くの席を確保しないと取りに行くのが不便だし、荷物がある場合は置き引きなどの不安もある。

 店舗は黒とクロームの金属素材を使用した「アキバ」らしいスタイリッシュなデザイン。店舗のコンセプトは「Tokyo Speed」というらしいが、これは「早く食べてね」という意味だろうか。

 筆者の臨店時には、話に聞いた「梅林」に行列はできていなかったが、客席はほぼ満席状態が続いていた。注文したカツ丼はつゆだく状態で、老舗の上品さを感じさせるほどの味とは思われない。それでも、駅構内で食べられるカツ丼としては十分にレベルが高い方だろう。一般のファストフードやフードコートに比べて、少し高めの価格帯を設定しているのはJRのお得意戦略。だが一歩駅を出ればあふれるほど店がある秋葉原だ。東京駅ほどに高価格な商品が受け入れられるかどうか、今後の動向が注目される。

 (外食ジャーナリスト 鷲見けんじ)

 ●店舗概要

 店名=駅型フードコート「TOKYO FOOD BAR」/開業=2010年4月28日/所在地=東京都千代田区外神田1-17-6(JR秋葉原駅電気街口改札内)

 ●鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。

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