プロの食材活用この食材でこの逸品:テーブルマーク「ホテルブレッド」

2011.01.03 382号 05面
店のコンセプトを演出する創作メニュー

店のコンセプトを演出する創作メニュー

 創作料理レストランにおいて、調理しやすさやコストに配慮しながらイメージと合致する食材を見つけるのは、じつに困難。ダイヤモンドダイニング・コンセプトレストラン統括料理長の浦川崇さんが、コンセプトレストラン「絵本の国のアリス」で最初に供されるアミューズ作りのために選んだ食材が、テーブルマークの「ホテルブレッド」だ。ダイニング業態ではなじみのない食材だが、浦川さんの独創的なアイデアを形にする出合いがそこにはあった。

 ◆低温じっくり焼成 パンが本に変身! アリスの物語から生まれた12の創作料理

 「絵本の国のアリスという店の名前にちなんで、一番最初に出すアミューズは本をイメージしたものにしたかった」と同社でコンセプトレストラン業態を担当する浦川さん。本をかたどった一口サイズのブリオッシュを作るために、彼が選んだのが本商品だ。「デニッシュなどいくつものパンで試作してみましたが、焼き上がった形も一番本らしく仕上がり、食感や風味も理想的」と満足げだ。

 パンはスライスと切れ込みを交互に行ったのち、切れ込み部分を開いた状態でオーブンで焼成し本が開いているような形に仕上げる。同商品1個で7つとるが、平日平均10個入りのパックを3パック分必要となるというから、相当な量と手間をかけている。このブリオッシュは、「不思議の国のアリス」に登場する12のキャラクターをイメージしたトッピングとともに一口つまみとして供される。

 ところでブリオッシュとは、通常小麦粉と水で作るパンをバターや卵を使ってお菓子のように仕上げたパンのこと。本商品は砂糖、全卵、フランス産発酵バターなどをふんだんに使用。そのままで甘く香ばしい味わいが、女性客にも好評だ。1辺が4~5cm程度の小ささも一口サイズにスライスしやすく、メニューコンセプトにぴたり合致した。

 「焦がすと古本になってしまう」と浦川さんは冗談まじりに言うが、白さを保ったまま本が開いた形にするために、低温でじっくりと焼き上げるなど手が込んでいる。また、崩れたものはシーザーサラダなどのクルトンにも使用するなど、食材の応用にもぬかりない。一口サイズな上にトッピングの内容も12と種類も豊富、しかも240円という値ごろ感もあって、必ずといってよいほど注文するという。まさに絵本の世界へと誘うメルヘンな一品である。

 ◆店舗情報

 「絵本の国のアリス」 経営=(株)ダイヤモンドダイニング/所在地=東京都新宿区歌舞伎町1-6-2 T-wingビルB2F、電話03・3207・9055/開業=2008年/営業時間=午後5時~翌午前2時(金土祝前日~翌午前4時、日祝~午後11時半)、無休/坪数・席数=54.54坪・100席/客単価=3,800円

 「不思議の国のアリス」が迷い込んだ絵本の国がテーマのコンセプトレストラン。いたるところにアリスのアートグラフィックが施され、豪華なシャンデリアや鏡でおとぎの国を表現。料理も「白うさぎ」や「チェシャ猫」「いもむしおじさん」など物語のキャラクターを表現したカラフルな盛り付けのカジュアルフレンチ&イタリアンで、若い女性客を中心に高い人気をほこる。12月に新宿小田急ハルク「ハル☆チカ」に姉妹店「魔法の国のアリス」をオープン。

 ◆食材紹介:テーブルマーク「ホテルブレッド」

 小さなお一人さまサイズ 発酵バターの香りが高級感を演出

 フランス産AOC発酵バターをぜいたくに使用した、本格的な高級食パン。耳までソフトな食感と風味が特徴。食パン1斤の形はそのままに4×6×8cm程度の小さな1人分サイズがユニーク。冷凍食品に強みをもつ同社だけに、解凍後に軽く温めるだけで焼きたてそのもののふんわりソフトな食感や味わいがよみがえる。上面は1つ1つ手作業でカットを入れ、手作りならではの表情を演出している。

 規格=400g/10個(冷凍)

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