高桑先生の飲食経営クリニックQ&A(37)常連客の高齢化で客足遠のき、お客が1人も来ない日が…
●from 相談者:
常連客の高齢化で客足遠のき、お客が1人も来ない日が…
今の世の中、どこを向いてもいい話がありません。私は、東京の郊外、松戸市で小さな居酒屋を経営している者です。10年前に、早期退職優遇制度で得た退職金で、大手企業のサラリーマンから脱サラして、小さな居酒屋の主人になりました。開店から4年間は、近所に居酒屋が少なかったことも幸いし、順調に売上げを伸ばし妻も手伝ってくれ、一時1000万円の預金もできて、順風満帆でした。しかし5年前から、常連客の高齢化で客足が遠のき、今ではお客が一人も来ない日があるくらい寂れました。これからどうなるのか。ご指導お願い致します。(居酒屋経営Sさん、58歳)
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●気持ち切り替え命がけで努力すれば何とでもなる!
相談内容は、よくあるマイナス思考の、愚痴ともとれる内容だ。「自分の店の業績が悪いのは、世の中が悪いからだ!」と、他が悪いと決めつけている。そこで一発、「カ~ツ!」を入れておいた。商売はそんな甘いものじゃない。答えは、以下の処方箋を「命がけで実行せよ!」である。
(1)自店がよみがえるために、皆が食べに来る「大人気看板メニュー」を開発せよ(2)まず、本紙をよく読み、これだと思う料理があれば、その店を訪ねて試食する(3)ない場合は、本紙の1~2年分の既存紙を注文し、目を皿のようにして探してみる(4)当店の「大人気看板メニュー」作りを、何よりも最優先にすることだ(5)“これだと”思う料理が見つかったら、その店を訪ねて教えを請うこと(6)普通なら、そんな者に教えるはずはないが、そこを平身低頭して、頼み込むのだ
(7)熱意なし、いい加減な気持ち、中途半端なら、あなたの店は消滅するしかない(8)何度もその店に通い、その料理を何度も食べてみて、何度もしつこくお願いする(9)やっと許可が出るようなら、住み込みで無料奉仕で働き、その大人気看板メニュー作りを、しっかり身につけることだ(10)看板メニュー作りが身についたら、その店のオーナーに味わってもらいOKを得ること(11)自店に帰ってきたら、そのメニューを店頭に大看板で、ド~ンと表示することだ
(12)金がないなら、ホームセンターから板とペンキを買ってきて、自前で作ることだ(13)看板設置の翌日から、来店したお客さまに、無料で看板メニューを試食させることだ(14)それを根気よく繰り返し、200人に試食してもらうことだ(15)TV局、マスコミに、毎日FAXで情報を流し、取材をお願いすることだ(16)本紙にも連絡して、今までの経緯とメニューの仕上がり具合を連絡することだ(17)その間、掃除・クリンネスを繰り返し、自店をピッカピカに磨きこむことだ(18)挨拶も元気よく、明るく、お客が驚くぐらい大きな声で実行することだ(19)やっと来たお客に、精いっぱい奉仕し、サービスすることだ(20)以上のことを、本当に真心を込めて、真剣に、それこそ命がけで努力することだ。
以上を読み、「こんなことできないヨ~」と思ったら、もうあなたの店に未来はない。
ただ単に、「根性論」を述べているのではない。「他店で大人気の料理を教えてもらい、自店で創作すること」をモデリング(modeling)と呼んでいる。これは、日本の大企業が得意にしている、「理想とするビジネスモデルを探してきて、自社に適合する」という方法だ。
モデリングのための探査作業、つまり上記で述べた看板メニューを、いろんなお店のメニューのなかから探す方法を、ストアコンパリゾン(store comparison)と呼んでいる。
上記の件は、ただ単に「根性をだせ!」と気合を入れているわけではない。科学的な経営法の中の1こまを、事例的に述べたに過ぎないのである。
((株)日本フードサービスブレーン代表取締役/服部栄養学園マネジメント論講師 高桑隆)