業務用食材活用の知恵(その12)ラーメンスープ・豚骨

2012.07.02 400号 27面
豚肉と青菜の豚骨焼きビーフン

豚肉と青菜の豚骨焼きビーフン

豚骨モツ煮込み

豚骨モツ煮込み

 ●食べやすいマイルドタイプも登場 鍋料理や炒めた麺に最適

 豚骨味は、そのクセの強さから長いこと定着できずにいたが、近年のラーメンスープブームにのって、完全に市民権を得たといってよい状況になった。ピュアな豚骨タイプの製品はさすがにクセの強いものもあるが、最近の人気化によって、鶏骨や廃鶏を混用したものや、野菜のうま味を付加したタイプなど、食べやすく、マイルドな味わいのものも増えている。

 独特の濃厚なスープは、これまでにあまりなじみのない味であるうえ、ラーメンだけにその利用が限定されるため、一般の料理に豚骨スープが使われるケースはほとんどないが、その分上手に応用すれば、個性的メニューの開発ができる。

 スープとしての性格上、最もマッチするのは鍋物料理。流行のモツ鍋や豚の豚骨しゃぶ、ニラやモヤシをたっぷりと使用した中華風の豚鍋、ラー油や花椒を加えてピリ辛味に仕立てた四川風寄せ鍋など、新しい味わいの鍋メニューが作れる。

 また、モツ煮や豚足煮といった煮込み料理や、焼きラーメン、焼きビーフン、春雨炒めなどの炒め調理をする麺料理にも最適だ。チャーハンや炊き込みご飯に使えば、これも個性的な味付けになり、やみつきになるファンも出よう。牛乳を加えると臭みが消える裏技もある。

 ◇「豚肉と青菜の豚骨焼きビーフン」

 豚骨の風味とコクを付加

 ■参考原価=131円

 ●使用食材(1人前)

 豚肩ロース肉(細切り30g)ビーフン(戻し100g)チンゲンサイ(細切り40g)玉ネギ(スライス15g)ホウレンソウ(4cm幅20g)根ショウガ(みじん2g)ニンニク(みじん1g)クコの実(少々)ラーメンスープの素・豚骨(10g)水(30ml)マヨネーズ(10g)日本酒(少々)塩(少々)ごま油(2g)サラダ油(6g)

 ●調理方法

 (1)豚肩ロース肉に塩と日本酒を振って絡めておく。

 (2)サラダ油でニンニク、根ショウガを炒め、(1)を加えて炒める。

 (3)玉ネギ、チンゲンサイ、ホウレンソウを加えて炒める。

 (4)ラーメンスープの素・豚骨8gと水を加える。

 (5)ビーフンを入れ、汁気がなくなるまで炒める。

 (6)クコの実を入れて炒め、皿に盛る。

 (7)ラーメンスープの素・豚骨2gとマヨネーズをまぜ合わせて添え、ごま油をたらす。

 ●メニュー開発のコンセプト

 ラーメンスープの素・豚骨のコクのあるうま味で炒めた青菜たっぷりの焼きビーフンに、豚骨味のマヨネーズを添えたユニークな味わいが楽しい軽食メニュー。

 ●応用のヒント

 ビーフンの代わりに中華麺や春雨で作っても美味。

 ◇「豚骨モツ煮込み」

 隠し味の味噌がポイント

 ■参考原価=129円

 ●使用食材(1人前)

 牛白モツ(ゆで70g)大根(厚さ7mmのイチョウ切り30g)ニンジン(厚さ7mmのイチョウ切り10g)コンニャク(ちぎり20g)根ショウガ(スライス1g、みじん1g)万能ネギ(刻み2g)ラーメンスープの素・豚骨(15g)味噌(1.5g)水(160ml)

 ●調理方法

 (1)ラーメンスープの素・豚骨と水をまぜる。

 (2)根ショウガ(スライス)、牛白モツを入れ、1時間煮る。

 (3)大根、ニンジン、コンニャクを加え、さらに1時間煮る。

 (4)味噌を加え、さらに30分煮る。

 (5)器に盛り、万能ネギを散らし、根ショウガ(みじん)をのせる。

 ●メニュー開発のコンセプト

 コクのある豚骨味のスープでじっくりと煮込んだモツ煮込み。隠し味に加えた少量の味噌が味を引き締める。

 ●応用のヒント

 牛白モツの代わりに豚白モツも向く。

 ○プロフィル

 押野見喜八郎(おしのみ・きはちろう) FSプランニング代表。1946年千葉県生まれ。東京ヒルトンホテルを経て外食マーチャンダイザーに転身。多数の外食専門校で活躍するほか、外食企業の商品開発、食品企業の業務用食材開発を手掛けるなど、わが国のメニュー政策指導の第一人者として知られる。「外食新メニュー実用百科」(日本食糧新聞社)など著書多数。

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