ニューヨーク通信 外食ビジネスの新発想(78)サーク・ジャパン アメリカナイズされた日本食

2013.08.05 413号 10面
「一番人気のテリヤキ・チキン」(5ドル69セント)。付け合わせの野菜も、ブロッコリーやキャベツなど洋野菜

「一番人気のテリヤキ・チキン」(5ドル69セント)。付け合わせの野菜も、ブロッコリーやキャベツなど洋野菜

ハーレムの目抜き通りの真ん中に位置する

ハーレムの目抜き通りの真ん中に位置する

 アメリカ最大のクイックサービスの和食レストランチェーン、「サーク・ジャパン」。37州にわたる250余りの店舗に年間延べ2000万人のお客が訪れる。一番人気は、定番のテリヤキ・チキン。リーズナブルな価格で、一般のアメリカ人のためにアメリカナイズされた和食メニューを提供する手軽なクイックサービス・レストランだ。(外海君子)

 ●特徴:全米で250店舗余りを展開

 第1号店は、アメリカに帰化した4人の香港出身者が1987年ボストンでオープン。順調に拡大を続け、4年後には25 店舗をオープン、今や250店舗余りを展開するまでになった。同店名は、サクラのアルファベットを入れ替えた造語かと思いきや、「石橋」という意味の中国語だそうだ。アジア料理のクイックサービス・レストランが密集する西海岸を避け、主に東海岸を重点的に、ショッピング・モールやフードコートなどに展開している。250店の内、直営が75%、フランチャイズが25%。日本料理は個人経営の店が多く、味にばらつきがあるが、同店に来れば、どこでも同じ一定の味を期待できるし、懐も気にしなくていい。

 本拠と研究開発部門は、カナダに移り住んだ共同経営者とともにトロント近郊に移ったが、経営陣がカナダに移ったとはいえ、カナダには一店も展開していない。アメリカ以外では、南米コロンビアに17店展開し、経営者はカナダから遠隔経営している。

 ●メニュー:テリヤキを中心にスシや弁当も

 今や、アメリカ人は日本食といえばスシを連想するようになったが、同店の第1号店が生まれたひと昔前までは、アメリカン・スシはまだ広まっておらず、スシよりも抵抗の少ないテリヤキがより一般的だった。同店のトップメニュー5の中に、テリヤキ・メニューが3点入っているのは、日本食の通よりも、一般のアメリカ人を対象にした店だからだろう。

 メニューは、テリヤキと弁当、スシ、そしてサイドオーダーで成り立っている。スシは、もちろん、カリフォルニア・ロール、シュリンプテンプラ・ロール、ソフトシェルクラブのフライを挟んだスパイダー・ロールなどのアメリカン・スシだ。

 弁当は、ガーデン・サラダとカリフォルニア・ロール4ピース付き。ライスかヌードルを選び、チキン、ビーフ、豆腐と野菜、エビの中から1つ選ぶ。デラックス弁当は、レギュラー弁当にエビと野菜の天ぷら4ピースが付く。

 ●US食事情:アメリカ人の日常に浸透する日本食

 それにしても、ショッピング・モールなど一般のアメリカ人が日常生活の一環で食べるまで日本食が浸透したのかと感慨深い。今後、アメリカン・スシ専門のフランチャイズも登場し、店に車をつけて乗車したまま、グリーン・ティーを飲み、カリフォルニア・ロールやレインボー・ロールをつまめる日も、さほど遠くない未来に広がるかもしれない。

 ◇人気メニュー5

 「テリヤキ・チキン」(5$69¢)

 「ビーフ・テリヤキ」(6$9¢)

 「スパイシーツナ・ロール」(4$49¢)

 「シュリンプ・テリヤキ」(6$69¢)

 「レインボー・ロール」(7$79¢)

 ●事業データ

 サーク・ジャパン(Sarku Japan)/所在地=121 West 125th Street , New York NY/開店時間=月~土 午前11時~午後8時半、日 午前11時~午後7時半/開業日=2012年11月/客席数=20/床面積=1,700平方フィート

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