惣菜弁当の殿堂(17)原信・ナルス「くるみ太巻き」 クルミ甘煮でごちそう感を演出

2014.01.06 418号 15面
濃厚なクルミの味わいと食感がたまらない!

濃厚なクルミの味わいと食感がたまらない!

甘煮にしたクルミは甘露煮状態なので、意外に扱いやすく、まんべんなく芯に行き渡る

甘煮にしたクルミは甘露煮状態なので、意外に扱いやすく、まんべんなく芯に行き渡る

 “太巻き”は食品スーパーの惣菜に欠かせない定番。全国各地にユニークな太巻きがある。中でも新潟県の「くるみ太巻き」は、かなり独特で、販売も県内に限られている。具材のメーンは濃厚なオニグルミの甘煮。昔、流通が乏しい山間地域で、生ネタのごちそう感をイメージして特産のオニグルミが活用され、次第に県内全域に伝わったといわれる。そして地元の食品スーパー「原信」が約25年前から販売、近年の“ご当地名物化”をけん引している。

 ●調理概要:持ち味生かし食品添加物不使用

 材料と太巻き1本の分量は、シャリ、オニグルミの甘煮、卵焼き、干瓢、椎茸煮、ヒジキ煮、キュウリ。調理方法は通常の太巻きと同じ。太巻き1本を8カンにカットし、4カン1パックで販売している。

 原信ならではの差別化は、砕いたクルミの粒が大きいこと。クルミの濃厚な味と香り、立体感と食感を生かすため、普通よりも一回り大きく砕いて甘煮に仕立てている。食品添加物を使わないのも自慢だ。

 ●販売実績:販売比率9対1で圧倒的クルミ優勢

 「原信」と「ナルス」の72店で定番として通年販売。平均日販12パック。約25年前の発売以来、安定した実績を継続している。節句の日は1本売り(2パック分・598円)することもあり、恵方巻きの日は日販100本以上に達する。

 また、クルミを抜いた普通の太巻きもあり、こちらは1カン増量で同価格の298円。だが、「くるみ太巻き」の支持率が圧倒的で販売比率は9対1。客層は年配客を中心に幅広く、世代に隔たりなく「太巻きにクルミは当然」と浸透している。

 ●ポイント:25年間9位継続まさに“継続は力なり”

 寿司分野200アイテム中、「握り寿司」「鉄火巻き」「ネギトロ巻き」「納豆巻き」はブレなく売れ筋上位。それらは曜日や時期により内容が変わり、販売数の順位も入れ替わる。日本海に面し“食材の宝庫”といわしめる地域だけに、生ネタに対する客に評価は非常にシビアで、原価アップも否めない。

 対して「くるみ太巻き」は9位が定位置。発売以来25年間、通年変わらず定位置を確保している。原材料の相場に左右されることも少ない。地味ながらも“同じ”を積み重ねてきた、まさに“継続は力なり”のご当地惣菜といえる。

 ●食材・資材の決め手

 使用食材:「オニグルミの甘煮」 濃厚な味と香りが自慢の日本原種

 濃厚な味と香りが自慢のオニグルミ(日本原種)。身を大きめに砕き、本醸造丸大豆醤油、純米本みりん、純米酢、水あめなどを合わせた調味液で炊き、甘煮に仕立てている。製造は食品メーカーに委託。200gパックに小分けされ各店に配送される。「クルミだけ売ってほしい」という客も珍しくないという。

 ◆会社概要

 原信・ナルス 経営=アクシアルリテイリング 所在地=新潟県長岡市中興野18-2/新潟県内を地盤とする食品スーパー「原信」(58店)、「ナルス」(14店)、群馬県を地盤とする「フレッセイ」(49店)、パン・菓子製造販売「ボン・オーハシ」など展開。

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