ニューヨーク通信 外食ビジネスの新発想(85)ポップ・カルマ 手作りグルメ・ポップコーン
アメリカでは、ポップコーンの店もよく見かける。何しろ、ポップコーンはコストの10倍近い値段で売れる。このポップコーンをビジネスにしない手はない。アメリカ人は、毎年、160億クォーツ(142億L)分のポップコーンを消費している。(外海君子)
●原価の8~10倍で販売
アメリカの映画館では付き物のポップコーン。自分で作れば安いのに、映画館で買うとべらぼうに高い。映画館ではポップコーンが原価の8倍から10倍で売られているのだ。ニューヨークの映画館では、だいたい大7$、中6$、小5$といった価格で売られている。「アメリカ最大のぼったくり」の一つに選ばれたほど高い。あまりに高すぎて、不当だとして訴訟まで起こったほどだ。が、映画館では、チケット価格のほとんどを配給会社に取られ、収益の8割をポップコーンや飲み物に頼っているのが現状だという。
それほど収益がいいならば、ポップコーンをビジネスにしない手はない、ということで、さまざまな付加価値を付けたグルメポップコーンの店が出ている。
●3種類の定番フレーバーと3種類のシーズンフレーバー
「ポップ・カルマ」もそんな店の一つ。店頭に並んでいるのは、6種類。うち3種類が定番で、残り3種類がシーズンごとに変わるシーズナルだ。定番フレーバーは、オリーブオイルと塩、チェダーチーズ、キャラメル。一方、シーズナルのフレーバーは、取材の時点では、ポーチニーチェダー、京都ミックス、ベーコン・アップル・ブルボンキャラメルであった。京都ミックスは、すなわち海苔をまぶして、正体不明のうま味ミックスをかけたもの。食べてみると、なるほどうま味というのはこんな味のことかと納得するほど、豊満なうま味風味が口に広がる。クリスマス時期にはジンジャーブレッド・キャラメルやパンプキンなどが人気だったという。
店頭での袋入りは、小2$、中4$50¢、大6$25¢。シーズナルのフレーバーは、25¢から1$25¢の上乗せがある。贈答用の缶入りも用意している。
ポップコーンは、カロリーも低く、繊維がたっぷり、ちょっと何かつまみたいというときに最適のスナックだ。同店には、次々と近所の人々が立ち寄っている。
●有機と手作りへのこだわり
同店では、遺伝子組み換えをしていないオーガニック・コーンを使い、エアポップ(熱い空気)でポップし、レディーメードのミックスを使わずに、毎日、奥の厨房で一から作っている。パーティーや結婚式の引き出物の注文も多いという。
◆事業データ
ポップ・カルマ(Pop Karma)/所在地=95 Orchard Street New York NY40.728385-73.9835759/開業日=2012年7月/営業時間=午前11時~午後8時