メニュートレンド:鍋の中でクマが「い~湯だな♪」 プルプルと揺れて愛らしい

2023.06.05 532号 02面
メニューは鍋、野菜、肉、締めのセットで2,980~3,600円。写真は一番人気の「北海道産特選めんこいセット」で、牛肉、豚肉、鶏肉、鶏つくねといろいろな肉を味わえる

メニューは鍋、野菜、肉、締めのセットで2,980~3,600円。写真は一番人気の「北海道産特選めんこいセット」で、牛肉、豚肉、鶏肉、鶏つくねといろいろな肉を味わえる

「くまちゃんだし」は白(豆乳、純米吟醸味噌)、赤(担々、韓国コチュジャン)、茶(鶏コラーゲン、鰹だし)の3色・6つの味を定番に揃える。これに毎月限定のだしが1色加わる

「くまちゃんだし」は白(豆乳、純米吟醸味噌)、赤(担々、韓国コチュジャン)、茶(鶏コラーゲン、鰹だし)の3色・6つの味を定番に揃える。これに毎月限定のだしが1色加わる

加熱していくと「くまちゃんだし」が溶け出し、まるで鍋の温泉に漬かっているような様子が愛らしい

加熱していくと「くまちゃんだし」が溶け出し、まるで鍋の温泉に漬かっているような様子が愛らしい

写真4

写真4

 かわいらしいクマの人形がちょこんと鍋に座り、火にかけると少しずつ溶け出して温泉に入っているかのように。「だし」を固める、新発想でZ世代女子を中心に人気を博しているのが東京・渋谷の「北海道めんこい鍋 くまちゃん温泉 渋谷宮益坂店」だ。

 ●Z世代とインバウンドを集客

 この「くまちゃんだし」は大根おろしではなく、コラーゲンや食物繊維を多く含んだだしを冷やしてゼリー状に固めたもの。「お待たせしましたー」とスタッフがテーブルに置いたときにプルプルと揺れる愛らしい様子は、言葉で表すのが困難だ。

 「海外展開できる新業態を検討する中でキーワードとなったのが、北海道と一人鍋。そこにSNS映えするビジュアルを掛け合わせて生まれたのが同ブランドです」と店長の渋谷幸司さんは開発の経緯を語る。外食業界では「業態開発」を語ることは多いが、同店は完全に「ブランド開発」の発想。北海道発のブランドとして、かわいらしい、店内が盛り上がるようなストーリーづくりをしている。2号店の渋谷・宮益坂店でZ世代やインバウンド客の支持をがっちり獲得。これをブランドの基礎に据えて2023年4月には中国・香港に海外1号店をオープンし、続いて韓国・ソウルにも出店予定。アジア広域で日本発ブランドを確立させようという野心が明確だ。

 さてこの精巧なフォルムのくまちゃんだし。さぞ精緻な食品工場で作られているかと思いきや、店内で自家製しているというから驚くばかり。型にだしを注いで冷やせば完成するようにみえるが、「首の部分が折れやすいんです。でも、くまちゃんを硬くしてしまうと、頭がプルプルと揺れるかわいさがなくなってしまう。絶妙な加減にするため、100回以上試作を繰り返しました」と渋谷店長は苦労を語る。

 定番は白・赤・茶の3色、6種類の味を用意。さらに毎月変わる限定だしでは、味だけでなく色もピンク、ラベンダー、オレンジなどと遊び心満載。「ほとんどのお客さまが、味ではなく色で決めていますね」と渋谷さんは笑う。限定だしの色・味は現役Z世代であるアルバイトスタッフにもアイデアをもらって決めているというフリーダム感も、近未来の飲食店を印象づける。

 22年8月には同じビル1階にカフェ業態も開業し、「くまちゃん」と「温泉」をテーマにしたかき氷やスイーツ、ドリンクを提供。今後も新たな展開で話題を呼びそうだ。

 ●店舗情報

 「北海道めんこい鍋 くまちゃん温泉渋谷宮益坂店」

 経営=イートアンド・インターナショナル/店舗所在地=東京都渋谷区渋谷1-8-10 2階/開業=2021年12月10日/坪数・席数=30坪・40席/営業時間=11時~15時、17時~22時。無休/平均客単価=3500円

 ●愛用食材・資材

 「ななつぼし」 ホクレン農業協同組合連合会(札幌市中央区)

 コメも北海道産にこだわる

 北海道発のブランドとして独自性を打ち出している同店。牛肉や鶏肉といった肉はもちろん、コメも北海道産のものにこだわることでブレのない世界観をアピールしている。かつて米作地として評価が低かった北海道だが、現在は高品質なブランド米を続々生み出して注目が高まっている。

 規格=5kg

 【写真説明】

 写真4:タレバーには「醤油ぽん酢」や「白ごまソース」といった定番のほか、「北海道スープカレーソース」「はちみつレモンソース」のような北海道やクマを連想させるものなど6種類を用意。さらに味変用のオイル5種類、薬味5種類を用意

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