2024年11月度、外食動向調査 フードコンサルティング

2025.02.03 552号 05面

 ●36ヵ月連続売上げ増に

 日本フードサービス協会が発表した外食産業市場動向調査によると、2024年11月度売上げは、前年同月比110.5%となり36ヵ月連続の増加を記録した。

 11月に入り平年並みに気温が低下したが、前月まで暑さが残っていたところを急に寒くなったことから、週末を中心に来客数が好調に増加し、鍋メニューやホットドリンク類の販促キャンペーンもあり出数が増えたことや値上げの浸透、インバウンド客の利用増もあり、客数は前年同月比6.2%増、客単価も4.0%増となった。

 個別に見ると、前年比を下回った業態は10月の25業態から11月は4業態まで減少し、落ち込みが目立ったのは木曽路グループの「鈴のれん(96.6%)」のみで、後は99%台と微減であった。

 ●2025年トレンド予測

 前月号でも指摘したが、人口減少と高齢化を原因として人件費や社会保険料の負担が継続的に増加していることに加え、円安によって食材費、エネルギーコストも値上がりが続いている。

 この傾向は、2025年以降も緩和する要素が見当たらない。足元の好調な売上げとは逆に、負担感が増すばかりの状況が続いており、個人店を中心に、倒産件数も増加傾向にあるのは周知の通りだ。

 このような厳しい状況下にある飲食店だが、他方、特徴作りや差別化に取り組む動きも出始めている。

 今回は、2025年から本格化していくであろうトレンドをいくつか見ていきたい。

 (1)ノンアルメニューの多様化とペアリング提案

 10年以上前から、平成生まれ以降の20~30代の若手世代がアルコールを好まない傾向は知られていたが、飲食店としてノンアル対応に本腰を入れてきた店舗は少ないのが実態であった。

 しかしながら、店舗オリジナルのノンアルメニュー導入や、料理とノンアル飲料のペアリング提案を行う店舗が徐々に増えている印象を受ける。

 ノンアル飲料も、最近はワインやハイボール、日本酒のノンアルバージョンも増え、さらに店舗でさまざまなスパイスや茶葉、コーヒーなどを使ったノンアルカクテルを提供し、そのメニューがSNSで拡散して人気店となり、来店数増と客単価アップを実現させた店舗も増えている。

 (2)外したロケーション

 人件費や食材費に加え、都市部では賃料も増加傾向にあることから、独立開業を目指す個人オーナーの中には、表通りの一等立地の裏手や1ブロック離れた場所、あるいは商業施設周辺の地下や空中店舗を選び、少しでも賃料負担を抑える店舗も増加中だ。

 ここ数年来、SNSで特徴あるメニューを拡散させ人気を集める手法が定着したため、立地面で多少不利であっても、SNSを活用してファン層を獲得し集客につなげる若手の飲食オーナーたちにより、人気の少ない路地裏や商店街の外れであっても、行列ができる特徴的な飲食店が今年も増えていくであろう。

 (3)高級店の増加

 昨年、港区にある客単価5万円の有名寿司店で、いわゆる「港区女子」と寿司店の大将がもめて、「港区女子」の人物特定も含めネットをにぎわせた出来事があったが、このような一人当たり客単価が数万円を超える高級店が、コロナ明け以降、主に東京都心部と京都市内において徐々に増加している。

 このような高級店は、インバウンド客の利用が多いイメージだが、実際には日本人客をメーンとする店が多く、それも従来の法人接待需要から、富裕層顧客のプライベート利用の割合の方が高いそうだ。

 しかも、その多くが会員制や紹介制かつ事前予約のみとなっており、メディア取材を受けないことや店内のスマホ撮影禁止により、料理や接客サービスのクオリティーの高さ、居心地の良い空間はもちろん、利用客のプライバシーが守られることも富裕層顧客を引き付ける魅力となっている。

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