タカラ・エムシー創業50周年記念特集

小売 2020.08.18
タカラ・エムシー創業50周年記念特集

 ◆1都6県に約100店舗のSM展開 さらに深化するタカラ・レガシー
 静岡県は人口比率で都道府県別順位第10位、全国シェアで3%の経済規模を擁する。東京と名古屋の両都市に挟まれつつも恵まれた自然環境のもと、これまで西部・中部・東部の各エリアでそれぞれ独自の食文化を形成してきた。そのため特徴的な地場の食品スーパーに対する県民の支持は厚く、まだまだ元気なローカル食品スーパーが顕在するのが現状だ。
 県内においてその代表格が静岡市に本社を構える地域密着型食品スーパーマーケットの「タカラ・エムシー」だ。1970年の創業以来、「鮮度と安さ」を基本コンセプトに「フードマーケット マム」業態を基幹店として静岡県を中心に愛知県、神奈川県の3県にわたって展開。8月1日をもって創業50周年を迎えることとなった。
 現在、食品スーパーは業態の垣根を越え他業態との競合は一層激化。まさに戦国時代さながらの生き残りをかけた熾烈な競争を強いられているのが実情だ。こういった状況下で大きな過渡期を迎えているSM業態にあって同社は、個店施策を重視しつつ積極的なM&Aを仕掛けることで年々店舗網を拡大。昨年には大黒流通チェーンなどをグループ化することで約900億円の売上規模までに成長を遂げている。
 同社のSM事業は現在、静岡・愛知・群馬・埼玉・千葉・神奈川・東京で計97店舗(フードマーケットマム40店舗・主婦の店1店舗・リベロ2店舗・リベロマム1店舗・アソーゲタカラ3店舗・大黒流通チェーン44店舗・サンフレッシュブルーム2店舗・エース4店舗)を展開。店舗規模は300~400坪を標準とし、特にその中で上野拓社長は、「今回の大黒流通チェーンのグループ化は、100坪規模のコンパクトな店づくりを学ぶことができ、出店戦略の幅を広げることにもつながった」と強調。また昨年12月にグループ化したエースと合わせ、まさに首都圏エリア進出への足がかりとなる大きな取り組みとなっている。
 食品スーパーとして「次世代にマッチした新たなコンセプトづくりが必要不可欠」(同社)な時代にあって、単に商品(モノ)を販売するのではなく、ストーリー性(物語)を提供する食品スーパーへと進化を遂げる中、同社ならではの価値創造は「タカラ・エムシーレガシー」として今後さらに100年、200年と受け継がれていく。
 (中部支社・静岡支局編集部)