東日本大震災から10年 東北は負けない特集

総合 2021.03.10

 10年の歳月が流れた。マグニチュード9、震度7という地震の発生と、ほどなくして襲ってきた津波があれだけの大災害を引き起こすとは誰しも予想できなかった。忘れたくても忘れられない多くの人々がこの日を迎える。さりとて10年が特別大きな意味を持つわけではない。家族、友人、同僚などを亡くした人々にとって3・11以降の日々はつらく悲しく、この先も永遠に続くものなのだろう。ある葬儀の後で住職が「愁嘆し怨嗟(えんさ)しその果てに時が悲しみを忘れさせてくれるだろう」と遺族に話していたが、時がどれだけ忘れさせてくれただろうか。全国で死者が1万5900人、行方不明2500人。
 21年2月13日、午後11時8分に福島県沖を震源地とするマグニチュード7.3、震度6強が観測された地震が発生、東日本大震災の余震であるとのニュースに驚かされた。余震活動は大地震ほど期間も長く、100年続くともいわれている。
 “災害列島日本”。防災、避難、備蓄を中心とした危機管理体制の見直しは被害がなかった地域でも不断に求められる。危機管理のリーダー心得としてヨークベニマルは次の五つを挙げている。(1)耐えること(2)決断すること(3)権限委譲すること(4)使命感を持つこと(5)軸をぶらさないこと。3.11を迎え、被災後、復旧・復興の最先頭で「負けない」を掲げて奔走した小売業の方々、復興後の市場に東北の思いを訴え続けているメーカーを取材した。(東北支局長=三沢篤)