9月2日。今日は那須塩原市牛乳の日
9月2日は那須塩原市畜産振興会が制定した那須塩原市牛乳の日。那須塩原市は本州一の生乳生産額を誇る。日付は語呂合わせに由来する。
牛乳は貴族の栄養食品だった
牛乳に関する史料として古いものでは、紀元前2000年の昔、 バビロニアに畜牛の法律ができ、当時の壁画に牛の乳を搾っている絵がみられる。搾った乳は飲んだり、顔を洗ったりするのに使われていたようである。また旧約聖書によれば、太古の昔、ヘブライ人は牛や羊、山羊などの乳をそのまま飲むほか、発酵させたものを飲んでいたそうである。
日本の牛乳の歴史は欽明天皇の時代(511~571年)に朝鮮半島に遠征した大伴狭手彦が百済(現在の韓国)にいた知聡を連れてきたことから始まる。知聡は 仏像などとともに、医薬書164巻をもってきた。そのなかに牛乳の薬効や乳牛飼育法の記述があり、これによって知識が伝わった。知聡の子、善那(後に福常となる)は牛乳を搾ってはじめて孝徳天皇(644~54年)に献上し、大変喜ばれたと伝えられている。当時牛乳は貴族の栄養食品として平安時代後期(1086~ 1141年)まで珍重された。しかし、庶民にとっては薬と同じように考えられ、牛乳を飲む習慣が普及しなかった。また仏教文化の影響で、四つ足の動物を食べることが嫌われ、牛乳は姿を消してしまっている。
江戸時代(1603~1867年)に、千葉県で牛の放牧が始まったが、明治時代(1888~1902年)に入るまで、牛乳は貴族の飲み物であった。一般の人が牛乳を飲めるようになったのは江戸時代末期の1863年に、前田留吉という人が外人居留地で牛乳の搾取販売をしていたオランダ人スネルに雇われ乳牛の飼育管理を学び、横浜で搾乳業を開いてからである。
(日本食糧新聞社『食品産業事典 第九版』(引用箇所の著者:林 弘通 ))