電化厨房特集:大手外食チェーンの最新電化厨房=叙々苑東京オペラシティ53

2010.05.03 372号 03面
焼き肉店のメニュー構成上、厨房内での加熱調理はそれほど多いわけではないが、下ごしらえやスープの温めなどでIH調理器が重宝されている

焼き肉店のメニュー構成上、厨房内での加熱調理はそれほど多いわけではないが、下ごしらえやスープの温めなどでIH調理器が重宝されている

シンポ(株)「電気無煙ロースター SERW」

シンポ(株)「電気無煙ロースター SERW」

 1996年にオープンした「叙々苑 東京オペラシティ53」。その名にあるように、53階に位置し、東京の街を眼下に一望でき、夜景のきれいなレストランとしても人気が高い。現在、49店舗展開している叙々苑の中で、数少ない客席電化の店舗の一つである。

 消防法の規定により、以前は高層ビルでガスを使うことができず、そのため高層ビル内への焼き肉店出店は不可能とされていた。

 しかし、叙々苑では電気による無煙ロースターをメーカーと共同で開発し、1994年に恵比寿ガーデンプレイスの38階に出店。そして、焼き肉業界初の高層ビル内オープンを果たした2年後に、東京オペラシティ53を開業した。

 電気ロースターに対するお客の反応について、石橋浩二店長によると、「叙々苑の店舗では、もともと炭火を使っているわけではありません。ですから、ガスであろうと電気であろうと同じ無煙ロースターなので、お客さまにとってあまり違和感はないようです」とのこと。

 ただし、ガスとは違って火が見えないので、慣れていないお客にとっては見た目で網が温まっているかの判断がしづらいようでもあるという。

 その一方で、電気ロースターは、温まるまでの時間がやや早く、パワーがあるという。

 また、ガスの場合は、ロースターをセットする際に、ちょっとしたずれがあるだけでも火が付かないなどのトラブルにつながりやすい。そのため、毎日のセット時にはチェックが欠かせないそうだ。しかし、電気ロースターでは開店前の忙しい時間の中で、そうした手間を省くことができる上に、安定した火力を提供できるというメリットがある。

 客席だけでなく、もちろん厨房も電気厨房機器が導入され、現在はIHレンジ6台、IHローレンジ1台、炊飯器を使用している。

 ◆現場のコメント:叙々苑東京オペラシティ53・小宮山崇料理長

 IH調理器の加熱後の立ち上がりがとても早く、お湯を沸騰させるときやスープを温めるときなどには、特に便利だと思います。

 ただし、海苔をあぶるなど、どうしてもIH調理器だけでは機能的に不可能な作業もあり、その場合には卓上のカセットガスコンロを使用するなどで補っています。

 しかし、火が出ないことでやけどをしないなどの安全面や、掃除がしやすいなど衛生面でのメリットも大きいですね。

 ◆店舗メモ

 ●「叙々苑 東京オペラシティ53」/所在地=東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティビル53階

 ●(株)叙々苑/本社所在地=東京都港区六本木6-1-24/事業内容=「叙々苑」49店舗(2010年2月末現在)

 ◆使用機器紹介:シンポ(株)「電気無煙ロースター SERW」

 熱源が電熱(シーズヒーター)のため、ガス機器の使えない高層ビルや地下の店舗に最適。漏電防止・過熱警報機能が付き、安全に使用できる。

 テーブルサイズやテーブルの形状は店舗のデザインに合わせて変更可能。網寸法は直径280mm。消費電力=単相200V×2kW。

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