シェフの愛用食材:ロックフィッシュ・間口一就オーナー 馬場本店「最上白味醂」

2011.04.04 385号 05面

 ○みりんの大吟醸 上品な風味が絶品チャーシューの決め手

 銀座で多くのバーやクラブが軒を連ね、古きよきトウキョウの面影を残すコリドー街にある「ロックフィッシュ」。2002年にオープンし、いまや「ハイボールの聖地」と呼ばれたり、缶詰に一手間加えた「缶つま」ブームの火付け役となるなど、多方面で活躍する人気店だ。またオーナーの間口一就さんは、ユニークなつまみの作り手としても多くの常連客を魅了する。「生ハムといちぢくの白和え」(400円)や「焼きキウイとブルーチーズ」(500円)など意外な食材同士の組み合わせ、予想外のおいしさで食べる人を驚かせる。

 そんな間口さんのつまみメニューの一つに「自家製チャーシューときゃべつ」がある。数時間かけて煮込んだチャーシューをスライスして、ボイルしたキャベツを添えて出す。6年前から提供している定番メニューの一つだ。豚肉の脂身の甘さと九州産の独特な甘口醤油をふんだんに使った甘香ばしいおいしさで、ハイボールのつまみにぴったりだ。

 同店のチャーシューづくりに欠かせない調味料が「最上白味醂」だ。他のみりんと比べて精米歩合が高い、いわばみりんの大吟醸。その色は澄みきった白金色。間口さんは、3kgの豚肉を煮込むのにまるまる1本(600ml)使用する。このみりんを使うことで、くどくない上品な甘さに仕上がる。数々の缶つまやアイデアつまみに脚光があたる同店だが、王道直球勝負の一品=自家製チャーシューにもまた他に劣らぬこだわりが隠されているのである。

 ●食材紹介:馬場本店(千葉県香取市佐原)「最上白味醂」

 伝統製法ならではの深いうま味 300年の歴史を伝える

 馬場本店は江戸時代後期から清酒とみりんの醸造を行う300年もの歴史をもった蔵元。今も変わらぬ伝統的な製法と味を守り続けている。地元契約農家の餅米だけを米焼酎で仕込む。もろみの日数は清酒造りより長い55日間。その間、タンクは炭火を使って保温し続ける。これらの手間を経て、特有の深みある甘さや香りが醸し出される。その味は、東京の老舗料亭や和食店など長年の愛用者が多い。

 規格=600ml

 ●プロフィール

 ロックフィッシュ・オーナー 間口一就氏

 まぐち・かずなり 1969年愛媛県生まれ。大学時代から大阪の老舗バーで働く。その後独立し2002年に東京・銀座で「ロックフィッシュ」開業。「バーの主人がこっそり教える味なつまみ」(柴田書店)、「缶つまデラックス」(世界文化社)などのユニークなレシピ本も好評。

 ●店舗情報

 「ロックフィッシュ」 東京都中央区銀座7-2-14 第26ポールスタービル2F

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