食品業界人がうなるラーメン:トナリ「タンメン」

2012.10.01 403号 12面
店頭ポスターの「野菜足りてますか?現代人は野菜が不足しています」のキャッチコピーが中年男性をはじめ幅広い客層の心に響く

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飾りっ気のないシンプルな店舗。看板のインパクトが強烈で、レトロかつ質実剛健な雰囲気が通行人の好奇心をあおる

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 ●おなじみメニューの進化系! 炒め野菜450gのガッツリ系タンメン

 「トナリ」は東京の東陽町に本店を構え、丸の内、木場と合わせて3店舗を展開する六厘舎グループのタンメン専門店である。タンメンといえば塩味のすっきりスープに野菜を具材にするという、古くからあるラーメンのメニューであるが、トナリではこのタンメンを進化させ、新しい形のメニューとして提供している。

 麺は老舗製麺所「浅草開化楼」の極太麺を使用。これだけでも従来のタンメンのイメージとは全く違うが、一番の違いは、スープである。豚骨と鶏をベースにした白濁の濃厚スープは、極太麺やたっぷりの具材に負けない存在感を示している。

 もう一つの大きな特徴は具材。タンメンらしく野菜がメーンだが、驚かされるのはそのボリュームである。約450gの炒め野菜がのっており、表現するならガッツリ系タンメンといった具合である。

 都心を中心に店舗展開しており、野菜不足のサラリーマンの心をつかみ、どの店も大行列となっている。ラーメンのメニューはタンメンのみに絞っているが、サイドメニューで、唐揚げとギョウザを提供しており、こちらもタンメンとセットで「タンカラ」「タンギョウ」と呼ばれ、名物になっている。

 ありふれたメニューでも徹底的にこだわり、独自の解釈で進化させ、新しいものとしてお客に提供する。ラーメンにはまだまだ広がりや奥深さがあると感じさてくれる店である。

 ●「トナリ」 東京都江東区東陽3-24-18

 藤野誠(ふじの・まこと)

 日清食品チルド(株)マーケティング部プロダクトマネジャー。市販用のチルド生ラーメンの商品開発を手掛ける。「行列のできる店のラーメン」「つけ麺の達人」などのブランド商品や数々の有名ラーメン店タイアップ商品などを企画し、家庭に最新のラーメンブームを伝えている。

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