外食史に残したいロングセラー探訪(68)大阪道頓堀 ぼてぢゅう「モダン焼」

2012.10.01 403号 05面
具材が盛りだくさんで食べ応えのあるミックスモダン焼

具材が盛りだくさんで食べ応えのあるミックスモダン焼

新しいことに挑戦していく道頓堀ぼてぢゅう(道頓堀總本店)

新しいことに挑戦していく道頓堀ぼてぢゅう(道頓堀總本店)

 お好み焼きにマヨネーズ、もはや定番となっているこの組み合わせを考案したのが大阪道頓堀ぼてぢゅうだ。同店は1946年に創業、業界に常に新しい風を巻き起こしている。その一つにお好み焼きと焼きそばを合わせた商品「モダン焼」がある。今や多くの人に親しまれているロングセラー商品、モダン焼を紹介する。

 ●大阪気質が生んだコスパの高い商品

 同商品は創業時から賄い料理として誕生。それを商品にし、お客に提供するため試行錯誤が繰り返された。

 同店を運営する(株)東京フードの橘川昭文広報担当部長は「一番の問題点はお客さまへの提供時間にありました。商人の街大阪では短時間で提供され、コストパフォーマンスの高い商品が喜ばれます。お好み焼きは水分を多く含んでいるため、焼くのに時間がかかるのが問題でした。そこで、生地を薄くし、強火で焼きそばを焼き、薄く焼いた卵で挟んだ今のモダン焼のスタイルが完成。昭和30年代後半に商品として登場させました」と説明する。その考えは調理工程の短縮にもつながり、職人の動作にも影響を与えた。今では熟練職人による手さばきは、見ているお客さまの感心を集めるほどパフォーマンスとしても喜ばれている。

 また、独特なネーミングは、当時はやった市民文化を表す昭和モダンの影響と、具材がたくさん入っている「もりだくさん」という言葉をもじった、いかにも大阪らしいネーミング。「高度経済成長の時代に働き盛りの若者にボリュームのあるものを食べさせたいという想いも込められています」と橘川部長は話す。

 食材は、独自の配合で作り上げた生地、麺は卵比率の高い熟成された太麺、たっぷりと使用されるキャベツ、具材をサンドして蒸すことで独特の食感を生む卵焼き。そして、ソースは完熟トマトの赤ソース、野菜と30種類以上の香辛料とウスターソースのブレンドで作られた秘伝ソース、酸味の少ない、ほのかな甘味が感じられる白いマヨネーズソースのこだわりの三重層だ。

 ご当地グルメとして他店でも提供されているモダン焼。同店では今年、新しいブランドとして「元祖モダン焼ぼてや」をオープン。そこでは、さまざまなモダン焼が堪能できるという、今なお進化し続けている同店の今後の展開が楽しみだ。

 ●企業データ

 ぼてぢゅうグループ

 (株)東京フード/本社所在地=東京都

 (株)大阪フード/本社所在地=大阪市西成区岸里東2-1-11/事業内容=国内6ブランド63店舗、海外13店舗運営

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