外食ラーメントレンド予測 有力メーカー各社の視点
近年のラーメンのトレンドは、二郎系や家系が存在感を示す一方、淡麗系や、油そば・混ぜそばなどの汁なし麺も支持を拡大。また、昔ながらの中華そばを現代的に進化させたスタイルやだしのうまみを追求する動きも見られ、いよいよ多様化が進んでいる。業務用製品を手掛ける有力企業各社に、独自視点で読み解く外食ラーメンのトレンドを聞いた。
◆「辛味×味噌」に着目 テイクアウトにも期待感
オリエンタル酵母工業 食品事業本部 営業統括部 副部長 保田正行氏
ラーメンのトレンドは近年、魚介豚骨や煮干しを利かせた食べ応えのある「こってり」と、鶏ガラや貝類のだしをベースにした醤油味、塩味の「あっさり」で二極化しており、それぞれに固定ファン層が厚い、と感じています。両者とも根強いファンに支持されており、時代ごとの人気店の傾向を反映しながら、この2つの間でトレンドが揺れ動いている印象です。
麻辣湯に代表されるスパイシーなタイプが定番化している潮流も見逃せませんね。
今後のトレンド予測としては、「こってり」「あっさり」のどちらにも対応できる味噌ラーメンに、可能性を感じています。辛味を利かせた味噌ラーメンなどが、増えていきそうですね。
一方、麺のトレンドですが、外食店ではこだわりのある自家製麺が増えています。もちもち食感で麺の味自体もしっかりと味わえるクオリティーの高い麺が今、求められています。また、定番の「豚骨×細麺」「味噌×太麺」にとらわれず、スープと麺のこれまでにない組み合わせを提案する店が増えました。今や麺そのもののおいしさが、店の個性や人気を左右する重要な要素になっているようです。
来年以降は食料品の消費減税を受けてテイクアウト需要が高まり、外食のラーメンにも波及するとみています。昨今人気が高い「汁なし麺」のテイクアウトが浸透してきていますが、今後は外食チェーンや個人店、またキッチンカーなどでも、ラーメンのテイクアウトが急拡大していくのではないでしょうか。
●オリエンタル酵母工業のイチ押し
「飛竜ノビガード」
茹でのびを抑制
中華麺の茹でのびを抑えるめん質改良剤。麺の弾力を強化し、コシと粘りのバランスの良い麺に仕上がる。麺生地の肌荒れ防止にも効果的。同品を加えて製麺すると経時変化に強い麺が完成。テイクアウト用の麺メニューに好適/規格=10kg
◎トレンドポイント
辛味噌ラーメン拡大か
テイクアウト有望
◆外食ならではの解放感ニーズ 食べやすさ両立の「背徳」「濃厚」へ
シマダヤ 業務用事業本部 業務用企画部長 笠原仁史氏
ここ1年ほどのラーメントレンドで注目しているのは、背脂やニンニクをたっぷり使ったこってりとした味わいや具材を山盛りにする「背徳系」と、濃い豚骨や味噌、どろどろとした煮干しベースなど強い味わいの「濃厚系」です。外食には日常の食事とは異なる解放感を求めるニーズがあり、外食ならではの味を思い切り楽しみたいという消費者心理が、こうした味わいの人気につながっているのでしょう。また、若い世代を中心にインパクトのある濃い味を好む傾向が見られ、豚骨やごま味噌、どろどろとした濃厚煮干しなど、強い味わいを打ち出したタイプが支持されています。
現在、拡大している混ぜそばや油そばも、しっかりとした強い味わいの満足感が大きく、さらに支持が拡大するのではないでしょうか。
今後の予測としては、振り切った背徳系、濃厚系の人気を経て、澄んだ清湯と白濁した白湯の中間に位置するような、濃厚さと食べやすさを両立したバランスの取れた味わいが人気になっていくのではないか、と考えています。
麻辣湯ブームも興味深いですね。消費者が「本場の麻辣湯」自体を好むようになったことによるブームなのか、それとも「刺激的な辛さ」を求めているのか。この動きが今後のラーメントレンドにどのように波及するのか、注目しています。
●シマダヤのイチ押し
「冷凍極太焼そば1kg」
強い味わいに負けない存在感
従来の“蒸し”ではなく“ゆで製法”で仕上げた食べ応えのあるもっちりとした食感の太麺。調理後、時間が経過してもほぐれやすく、味がよく絡むのも特徴。焼そばのほか、混ぜそば、ちゃんぽんなど、濃い味わいのメニューに最適/規格=1kg(冷凍)
◎トレンドポイント
バランスの取れた「背徳」「濃厚」
刺激的な「麻辣湯」拡大の可能性
◆濃厚一辺倒から「バランス型」へ 本格感とコスパの両ニーズに対応
創味食品 マーケティング部 林昌宏氏
近年は「濃厚系」と「淡麗系」の二極化が進んでいます。濃厚系では、二郎系や家系に代表される迫力のあるがっつりタイプや、白濁した鶏白湯といったガラのうまみをしっかりと感じられる、こってりとした味が支持されているようです。一方で、使う食材を絞り、丁寧にだしを取ることで素材本来の味を引き出した繊細な淡麗系も変わらず根強い人気です。このタイプは昔ながらのシンプルな味わいを現代的にブラッシュアップしているのが特徴です。ラーメンが一杯1000円の壁を超える昨今、両者に共通するのはやはり、家庭では再現しにくい外食店ならではの味という点でしょう。
今後のラーメントレンドですが、家系に代表されるようにこれまでは濃厚を追求していた潮流から、あっさりとした味わいに幾分回帰する傾向になる、と予測します。とはいえ単純なあっさり味ではなく、濃いうまみをベースに辛味や酸味を加えるなど、濃厚一辺倒ではなく、味にメリハリをつけてバランスを整える方向に進むのではないか、と思います。
また、新たに登場した味として関心を寄せているのが、コーンなどの野菜だしと鶏白湯を組み合わせたスープです。とろみのある濃厚な口当たりで満足感を得られる一方、野菜のヘルシー感もある。満足感と健康イメージを両立した「罪悪感の少ない濃厚さ」が今後の新たなトレンドになっていく、と予測しています。
●創味食品のイチ押し
「創味のとろっと 鶏白湯」
とろっとした口当たりが◎
肉感たっぷりのガラスープをベースに、アサリと焼きアゴのうまみで濃厚ながらもクセのない味に仕上げた。特許製法でお湯で薄めるだけでとろっとした口当たりに/規格=1kg(常温)
「創味 みんなの醤油ラーメンスープ」
おいしさとコスト両立
“みんなの”との商品名通り、誰もが好む王道の醤油ラーメンスープの素。バランスの良い味わいで、同品をベースに店ならではのアレンジも可能。コストを抑えながら安定した味が提供できる/規格=1.8L(常温)
◎トレンドポイント
「あっさり」に回帰傾向
「罪悪感の少ない濃厚さ」今後拡大の可能性
◆昔ながらの「油そば」人気拡大 「自分流に楽しむ」が支持
平和食品工業 執行役員 営業部部長 小松崎康幸氏
油そば、混ぜそばの人気が年々高まっており、今最も有望なジャンルと考えています。首都圏でも汁なし麺のチェーンが急激に増えていますが、やはり人手不足という要因も大きいのではないでしょうか。汁なし麺は、オペレーションが簡易です。長時間かけてスープを仕込む必要もなく、残ったスープの廃棄の処理負担も軽減できる。店舗側にとって運営がしやすいメニューといえるでしょう。
汁なし麺といっても、シンプルな具材の油そば、釜玉中華、台湾混ぜそばに代表される、刻んだ具材をのせた混ぜそばなど、いくつかのカテゴリーがありますが、特に昭和の時代から続く昔ながらの油そばに注目しています。油そば発祥の店といわれる東京都武蔵野市「珍々亭」のタイプですね。植物性油脂を使った醤油感があるタレに、ネギやチャーシュー、メンマなどのシンプルな具材を合わせた、昭和の王道の醤油ラーメンをアレンジした油そばです。
ラーメンは近年、二郎系や家系のブームが長く続いていますが、こうした迫力のあるこってり味とは異なり、油そばは満足感が得られる「外食らしい濃い味わい」をベースにしたシンプルなおいしさが特徴で、味をアレンジしやすい。酢やラー油、魚粉、ニンニクなど、自分流にアレンジしながら味の変化を楽しめる点が今の消費者のニーズにマッチしており、今後ますます支持を集める、と予測します。
最近、トッピングを多彩に揃えるラーメン店が増えていますが、こうした潮流も消費者が「自由にカスタマイズできる楽しさ」を求めていることが背景にあるのではないでしょうか。
●平和食品工業のイチ押し
「ながらの油そば」
アレンジしやすく万人好み
うまみたっぷりの特製醤油タレに植物油脂を合わせた油そば専用のタレ。鶏ガラとカツオだしを利かせた誰もが好む昔ながらの味わい。味のアレンジもしやすく、どんなトッピングにも合う。植物油脂使用で温でも冷でも提供可能/規格=900g、36ml(常温)
◎トレンドポイント
自分流にカスタマイズする楽しさ
昭和の「醤油ラーメン」の味に回帰















