’94外食産業業種・業態別展望 ファストフード・洋風=多様化するメニュー

1994.01.03 43号 7面

昨年、最後の大物と言われるバーガーキング(BK)が上陸して、洋風FFの陣容は出揃った。つまりは、大変に厳しい競争が始まったことでもある。フードサービスの巨人、マックでさえも危機感を持って、メニューの多様化に走っている。

このクリスマスをマックのフライドチキンで祝った家庭はどのくらいあったのだろう。KFCの独壇場だったフライドチキンにバーガーの巨人マックが参入すれば、その一方でフライドチキンの雄、KFCはノンフライチキンに注目する。モスバーガーがラーメン店を展開すれば、KFCは焼き鳥屋を経営する。ミスタードーナツは飲茶を導入し、ファーストキッチンは冷凍のピザとチキンを宅配する。洋風FFに限れば、何か支離滅裂の印象を拭い切れない。ただ、過渡期の混乱であるとすれば、九四年は大いに期待できそう。

ところで、メニューを絞った展開を始めている若いチェーンが出ている。米国からのチェーンで言えば、サブウェイ・サンドイッチやシカゴドッグがあり、ナショナル系で言えば、フレッシュネスバーガーのようにグルメバーガーの道を模索するチェーンがある。

ところで、BKのワッパーを新横浜の店で試食した時、アレッと思った。米国で食べた時と違う味のような気がしたのだ。米国という風土の中で育ったバーガーは、米国で食べてこそ本来の味が引き立つのだと思う。その意味で、国産チェーンとして、日本の風土に合うフードを開発し、その特色を打ち出すチェーンがモスバーガーを先頭として出ていることは心強い。米国で確立されたFFのシステムとコンセプトの良さをまねしながら、独自の食文化を作り出そうというのだ。

とはいえ、洋風FFでは和風がトレンドで、ロッテリアや森永ラブなどが、次々にサケライスバーガーやテリヤキバーガーのような和風素材を発表し、ミスタードーナツではあん入りのパイを発売しているのは、どうなのか判断しかねる部分もある。

逆に、まったくのエスニックを売り物にするFFショップもある。イアリアンのイ・パニーニ、モッタ、ファゾーリのようにかなり有名になっているものもあれば、公園近くの道路上のワゴン屋台で、中近東のファラフェルなどを販売する店もある。

洋風FFのこととなると、どうしてもバーガーとフライドチキンに話題が集中してしまいがちだが、最近面白いのがサンドイッチとデザートだ。シカゴドッグやサブウェイの上陸で、丼などごはん物のFFに押され気味だった洋風FFにスター出現という雰囲気は出た。デザートの方では、スコーンとかマフィンとかがバーガー店を中心に導入されている。どちらにしても、BKのワッパーのような「これ」という商品で、このジャンルを一気に活性化してほしいものだ。

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