景気低迷下大手各社の対応策 業態転換=ガスト、客数は転換前の2倍に

1994.01.17 44号 12面

外食企業は長期化する不況の中で対策に苦慮している。これまでの大手外食各社の対策をみると値下げ、営業時間の延長、スクラップ&ビルド、新業態の開発、低コスト店舗開発、食材や物流の見直しなど、ソフトからハード面にいたるまであらゆる対策を打ち出している。ここでは、今後の外食産業の動向を占う意味で、すかいらーく、フォルクス、日本ケンタッキー・フライド・チキンなど外食産業の大手各社の動向を追ってみた。

㈱すかいらーくは、昨年7月に「グループリストラについて」を発表。リストラは二つの柱からなり、グループ一三業態を一一業態に再編成し、新業態「ガスト」を新たに加えて一二業態のラインアップで展開するというものであった。特に新業態「ガスト」は7月末に二六店舗しかないものを12月末までにFRすかいらーくの不振店を中心に業態転換して二〇〇店にするというものであった。

業態転換は順調に推移し、年末には二一四店となった。「ガスト」はメニューアイテムをFRすかいらーくの三分の一の三五アイテムに絞り、調理工程の集約化による品質の向上とロスの削減、外注を少なくし、自社セントラルキッチンで生産したものの利用を増やす、テーブル案内などのサービスの見直し、などによりFRすかいらーくとほぼ同質のメニューを低価格で提供。客単価は約三〇%近く低い八〇〇円とした。売上高に占める食材費はFRすかいらーく三〇%からガスト三五%に、人件費は同三〇%から二三~二四%となり、売上げが同じなら利益は遜色のない業態設計となった。

平均して客数は転換前の二倍、オープンして一年たった店舗でも客数は伸びており、消費者の支持は強いと同社は分析している。今年はFRすかいらーくの出店をおさえて、ガストを業態転換、新規で増やしていく。

㈱フォルクスは10月、価格を従来より二割程度引き下げた実験店を東京・大阪・京都で始め、12月から首都圏を中心に低価格の新業態店に切り替えている。メニューはヒレステーキ、サーロインステーキ、ハンバーグを三本柱にサラダバー、ホットドリンクバーを取り入れ、ステーキ専門店を強調している。

基本メニューはヒレステーキ一四〇㌘九八〇円、サーロインステーキ一六〇㌘九八〇円、ハンバーグステーキ四八〇円、一口ヒレステーキ一五〇㌘六八〇円。これまでのカレーやパスタ類、サイドメニュー類を一切なくし、メニューブックも「ガスト」同様表裏に印刷した一枚もののシンプルな形を採用。同社では客単価は従来の一四五〇円から一五%ほど低下、客数は三〇%程度増加し、一店の平均月商(従来一五〇〇万円)は一五~二〇%増えるとみている。

イトーヨーカ堂グループはグループ内のFRを一本化、一部スーパー内の店舗を除く、和食系FRファミール二三店をデニーズに移管、FRデニーズに業態転換を行った。うち、デニーズとの隣接店は従来のデニーズと異なり、和食を強化した業態となっている。

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