外食産業活性化への提言 ドトールコーヒー・鳥羽博道社長
全産業にわたる減収減益の波はとどまるところを知らず、どうやらこの不況状況は一過性のものではなく、長期化するのではないかというのが、産業界共通の認識となっています。
われわれ喫茶業におきましても平成4年度の商業統計調査では全国の喫茶店数が約一一万五〇〇〇店となり、前回調査の平成元年から約一万七〇〇〇店が減少している状況です。
このような厳しい状況下におきまして、当社は九二年8月、おかげさまで株式の店頭公開を果たすことができました。これもひとえに日々ご利用いただいております多くのお客様と加盟店の方々のたゆまぬご努力の賜物と感謝申し上げる次第です。
この店頭公開を契機として、社員の一層のレベルアップと、当社の企業理念であります「一杯のコーヒーを通じてお客様にやすらぎと活力を提供する」という喫茶業の使命を実現し続けるため、店舗・商品・人の魅力をより一層高めて参りたいと考えております。
店舗の出店につきましては、新年度におきましても一八〇円コーヒーの「ドトールコーヒーショップ」を軸にしまして、「カフェコロラド」「カフェエクセシオール」「二人の珈琲人」「カフェテレジア」、そしてスパゲティハウス「オリーブの木」の六つの業態を積極的に展開していく方針でおります。
とくに、このうちのドトールコーヒーにつきましては、これまで関東・関西地区を中心にフランチャイズ出店して参りましたが、新年度を契機にしまして今後は全国の県庁所在地へも拡大し、ナショナルチェーンとしての体制を整えていく計画でおります。
この業態はすでに三一〇店以上を出店しておりまして、一杯一八〇円という低価格でありながら、質、サービス共に消費者のみなさまに大変な評価を受けております。また、一方におきましては小回りの効く出店、成功度が高い喫茶業態として、FC加盟の要望も多いのです。
このほか、「カフェエクセシオール」、これは大型オフィスビルでの出店を主体にしているイタリアンカフェ&バーですが、高級感と低価格とを兼ね備えた未来型のカフェという出店コンセプトで、まだ店舗数は四店と少ないのですが、それなりのフードメニューも揃えており、また朝、昼、夜のニーズにも対応できる業態でありますので、当社の中心的事業へと育ちつつあります。
平成5年度の売上げは一七四億七〇〇〇万円の目標を立てており、前年比七・八%増を見込んでおりますが、この中間決算では二・一%増という実績で、それなりに健闘しているのではないかと自負しております。
しかし、不況が長期化し、「いつかは景気が回復する」という認識が通らないとするならば、当社もこの厳しい現実を正面から受けて、真に消費者が求めているのは何であるのか、また、これからの店舗経営はどうあるべきなのか、未来への活路を切り拓き、不況に動じない、強い企業体質を造り上げていきたいと考えている次第です。