飲食トレンド ライバルは“中食” 攻撃的セールスで武装する外食産業

1997.06.16 129号 1面

モノ余りの時代を迎え、飲食店の過当競争は増すばかり。食の外部依存率こそ年々高まっているものの、それ以上に新規出店や他業種からの新規参入が相次いでいるのが現状である。供給過剰の市場で既存店が勝ち抜くには、従来にも増して品質、サービス、値打ち感を研ぎ澄ます必要があるが、同時に自らセールスを仕掛ける攻撃的センスも磨かねばならない。なぜなら、異業種のライバル“中食”が、外食ニーズを急速に吸収し始めているからだ。

「一に立地、二に立地、三、四がなくて五に立地」といわれる飲食店業界であるが、近年この各論がゆるぎ始めている。

商圏での陣取り争いに勝ち得た、もしくは好立地で展開しているにもかかわらず売上げが頭打ちとなり、既存のシェアまで切り崩されかねない事態に陥っているからだ。

「CVSのFF、惣菜など、中食市場の急成長により飲食店の利便性ニーズは色あせる一方。立地に甘んじては集客は落ちるばかり。飲食店業界の常識が変わりつつある」とは、ある大手FF。

外食産業の急成長期は、商圏内の陣取り合戦に勝ち得ることが、イコール繁盛につながった。いわば同業同士の争いである。だが、陣取り合戦が終えんしたいま、新たなライバルとの争いを余儀なくされている。

中食に勝つためには、さらに利便性を高め消費者に歩み寄る攻撃志向が必要だ。いわば、“待機”から“仕掛ける”に転じる積極志向である。

中食を相手に、攻撃に転じる飲食店の事例を追った。

(2面に関連記事)

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