シリーズ売れる惣菜 「あえ物」和・洋・中華に欠かせぬ副菜
あえ物は和・洋・中華に広く利用され人気の高い惣菜である。洋ではドレッシングあえやマヨネーズあえがこの代表。中華では凉拌(リヤンバン)で、冷たいあえ物が多い。和風のあえ物は非常にバラエティーに富んでいるのが特徴である。
この特性をみると‐‐
●料理の主菜ではなく副菜である。
●比較的作るのに簡単である。
●旬のものを利用し、シーズン性が高い。
●酒の肴に向く。正月料理などにもよい。
●あえる材料(ごま、豆腐、青海苔、クルミ、梅肉、酢味噌ほか)が多く、同じ材料でも味の変化が楽しめる。
和風のあえ物をみると‐‐
木の芽あえ、白あえ、酢味噌あえ、梅肉あえ、おろしあえ、ごまあえ、ピーナツあえ、クルミあえ、納豆あえ、ワサビ醤油あえ、うの花あえ、青海苔あえ、バラコあえ、ぬた・オクラあえ、からし醤油あえ、タラコあえ、かやくあえ、しぐれあえ、といったもののほかに、地方特有のあえ物を加えると数十種となろう。
四季の旬の材料をみると‐‐
〈春の素材〉三ツ葉、ワケギ、タケノコ、フキ、ワラビ、ウド、野ゼリ、イカ、青柳、トリ貝、ミル貝、白魚、ワカサギ、コハダ
〈夏の素材〉キュウリ、レタス、トマト、インゲン、グリーンアスパラ、ナス、カボチャ、アワビ、サザエ、ハモ、アジ、エビ
〈秋の素材〉ナス、インゲン、ミョウガ、枝豆、松茸、ナメコ、菊花、ナシ、リンゴ、カキ、サバ、イワシ、サケ
〈冬の素材〉ホウレンソウ、小松菜、春菊、白菜、大根、レンコン、ゴボウ、カブ、ニンジン、里芋、山芋、干しガキ、カニ、タコ、カキ、アサリ
〈周年の素材〉豆腐、コンニャク、油揚げ、乾椎茸、ヒジキ、ワカメ、イクラ、タラコ、イカ、エビ、シラス干し
あえ物ベスト5をみると‐‐
(1)しらあえ(豆腐と白ごま、ニンジン、コンニャク)
(2)おろしあえ(大根おろし、イクラ、ナメコ)
(3)ごまあえ(ごまと青菜類、特にホウレンソウ)
(4)木の芽あえ(白味噌、木の芽、青よせ、タケノコ、ウド、イカ、貝柱、赤貝、エビなど)
(5)うの花あえ(うの花、みりん、酢、砂糖など)
あえ物はさっぱり味でヘルシーで若い女性層にうけるアイテムである。
この作り方のコツをみると、下ごしらえをきちんとすること。材料によって処理方法が異なるが、特に水っぽさ、アク、生臭さをよくとることがポイント。基本型は‐‐
(イ)塩もみする=大根、キュウリ、ニンジン、白菜、カブなどは塩をふって、しんなりしたら水洗いをよくしてしぼる。酢の物にする場合は酢洗い。
(ロ)下ゆでする=ワケギ、三ツ葉、セリなどは熱湯に塩少々を加え、ゆでて水にとる。レンコンは酢を入れた中でゆでる。
(ハ)塩と酢でしめる=サバ、コハダ、アジなどは、塩を強めにふって酢につけると生臭みがとれる。このあと皮をむく。
(ニ)塩洗い・酢洗いする=赤貝、アワビ、ホタテ貝は塩でもみ、水洗いしてさらに酢洗いする。大根おろしで洗うときれいになる。
(ホ)霜降りにする=ミル貝はさっと熱湯につける。青柳は塩水でふり洗い。イカは熱湯につけ冷水にとり水洗いする。
(ヘ)下煮する=コンニャク、ニンジン、椎茸、タケノコ、油揚げは薄味で下煮してから使う。堅いもの、アクの強いものは下ゆでして下煮。
あえ物は、食べる直前にあえること。時間がたつと味が落ちて、香りも色も悪くなるので要注意。