だから素敵! あの人のヘルシートーク:美容アドバイザー・佐伯チズさん
美肌師、佐伯チズさんの新刊が話題になっている。今回はスキンケア関連ではなく、初の「生き方本」だ。「佐伯式ローションパック」のやり方は出てこないけれど、読めば元気できれいになるらしい。お話をうかがおう。
化粧品メーカーを定年退職してこの3年、美容関連の本を11冊出版したのですが、「おかげできれいになりました。今度は佐伯さんがどういう風に生きてきたか教えて。人生や生活を楽しくする方法を教えて」という声をいただきまして。60歳までOLをしてきましたから、人との付き合い方、お金の使い方、女性として仕事人としての時々の選択…確かにお伝えしたいことはたくさんあります。ずっと「女性はきれいにならなきゃソンよ!」と訴えてきた私ですが、それと同時に今回は皆さんにこの言葉を捧げています。「夢はかなえなきゃ嘘よ!」。
「世の中の、すべての女性をきれいにしたい」。これが私の夢、想いです。それから「本を出したい!」「『徹子の部屋』に出たい!」「美の学校をつくりたい!」など、「こうしたい」と思ったことは人に笑われようと口にしてきました。すべてかないましたね。夢や幸せの実現にはビジョンを持つことが第一。ただ漠然と幸せになりたいと思うのではなく、「どうしたら自分は幸せになれるのか」「何をしている時、最も輝いているのか」を思い描いて、口に出してみましょう。その瞬間に生きるエネルギーがみなぎってきませんか。
18年連れ添った大好きな主人を亡くしたのが42歳の時です。それまで勤めていた化粧品会社をやめ看病に専念を決意した1年半後のこと。貯金も退職金も治療代で使い果たし、家にこもって主人のパジャマを身にまとい1年泣き暮らしました。
しかし人間とはよくできたもの。そのうちハタと目を覚ましました。主人を亡くして子供がいなかったので、この後も自分一人で生きていかなくてはなりません。何かをしよう、戻るんだったら化粧品業界しかない。けれど鏡を見てがく然、目の下はクマで真っ黒、目尻にはドレープのようなシワ。こんな汚い顔では誰も受け入れてくれません。まず自分がきれいにならなくては!
それから私は毎日、鏡を見ながら「きれいになって。ならなきゃダメなのよ! 神様お願いします!」と、すがる思いで自分の肌と向き合いました。肌にはセンサーがある。ここに心の美容液、自分の命のエッセンスを入れて。3ヵ月の時間をかけて少しずつ、肌は「分かったわ」と応えてくれましたね。そうして私は45歳で堂々企業面接、また美容の世界へ復帰しました。この自分がよみがえった事実が、その後エステシャンとして皆さんをアドバイスしていく自信となったのです。
「きれいになるためにはどうしたらいいですか」と聞かれたら、まず「食べて元気になること」と答えています。「つけることよりも前に、ちゃんと食べなさい」と。もちろん、自分の復帰の時も、食事に最も力点をおきました。肌は内臓を写す鏡。ギトギトしている人は、天ぷらや揚げ物が好きだし、クマができやすい人は塩辛いものが好き。普段の食事が肌タイプを決めている。逆にいえば、食べ物に気を遣えば肌も変わるのです。
乾燥を防ぐためには、たっぷりの水。そしてビタミンCが豊富なフルーツ類や、βカロテンが豊富なかぼちゃ、にんじん、ほうれん草。肌に弾力を与えると注目のヒアルロン酸も化粧品だけでなく、鮭、かれい、鶏手羽先、山芋、里芋などを食べれば取り入れられます。美白もビタミンCがポイント。緑茶やパセリ、エンドウ豆、カキ、ゆずの皮などを。あさりなど鉄分を含むものは顔色を良くしてくれますね。
人を美しくする、こんな素晴らしい仕事をさせていただいているのだから、そのためにはまず自分が健康じゃないと。パワーを与えるのに、こちらがパワーダウンしていたらダメ。そうした自分を食事で作れます。
人の人生じゃなくて自分の人生だから…。私は自分を奮い立たせることをずっとやってきました。これからもそのつもりです。
◆プロフィル
さえき・ちず 1943年生まれ。OLを経て美容学校、美容室勤務の後、67年フランス化粧品メーカーのゲラン入社。その後、渡米などを経て88年パルファン・クリスチャン・ディオールのインターナショナル・トレーニングマネジャーに就任。2003年定年退職後、エステティック・サロン「サロン・ドール・マ・ボーテ」を開業。
http://www.chizu-corporation.com