羊子先生の薬食同源:女性に多い「むくみ」を改善する

2004.11.10 112号 12面

「夕方になると足がむくんで…」、よく女性から聞く言葉です。「むくむ」とは、皮下組織(筋肉の上、脂肪の下)の水分過剰状態。血液中の体液が血管外に漏れた状態ともいえます。心臓・腎臓・肝臓・リンパ腫などの内科的疾患で起こるケースは別とした、女性特有の「むくみ」についてお話しましょう。

人の血流はこうなっています。まず心臓のポンプが末梢まで血液を行き渡らせます。これは大部分、上から下なので容易です。問題は重力に逆らう帰り道の静脈回流です。このポンプがどこにあるかというと、ふくらはぎの筋肉がその役割を担っています。だから筋肉が少ない女性の方が足がむくみやすいのです。ハイヒールを履くことで重心が足先よりになることも、原因としてあります。また脂肪自体水分が多いので、皮下脂肪の多い人はもともと水を蓄えやすいダムを持っているようなものです。

むくみが続くと尿が出ない、つまり毒素が溜まるケースもあります。放置しておくと、心臓に負担がかかり循環器系の病気に発展する場合もあります。自分のタイプを知ってケアをすることが大切です。

◆むくみのチェック

頸骨の内側、足のくるぶしから指三~四本のあたりを痛みを感じるくらい押す。ここは筋肉含め皮下組織が薄いので、むくみがあればすぐ分かる所。むくみがある場合はくぼんで戻らないはず。重度の場合は指が皮膚に埋没する。

漢方の処方では、「むくんで熱がある場合」と「むくんで冷えがある場合」で改善法が違います。

●むくみ+熱(のどの渇きがある。手足が熱い。肥満気味の人)

・瀉火利湿顆粒

身体に溜め込んだ不要な水分、老廃物を追い出し、良い代謝をつくる。

●むくみ+冷え(手足が特に冷たい。顔は青白い。口は渇かない。食欲はあまりない。特に女性に多い)

・蘭州金匱腎気丸

水はけの制御機能を強め、身体を温めながら必要な水分を体中に循環させ、溜まった水分を体外へ排出させる。

◆静脈回流を良くしてむくみをとる習慣

○寝る前に足及び足裏のマッサージをする。さらに五~一〇分、足を頭よりも高い位置にする。

○立ちっ放し、座りっ放しの状態を避ける。一時間、座りっ放しだったら五分歩いて、ふくらはぎを動かす。

○歩き方を工夫する。かかとから着地し、土踏まずが反るように足裏全体を使い、最後につま先で蹴る。この方法で毎日歩けば、ふくらはぎの筋肉がつき代謝が良くなる。

(指導/中医師・張立也さん)

◆薬食レシピ 昆布と大根のスープ(2人分)

(1)乾燥昆布150グラムは水に戻して食べやすい大きさに、大根200グラムは角切りに切る。

(2)(1)を鶏ガラスープ300ccで煮込む。

(3)塩・コショウ・老酒で味つけする。

・この他のむくみにいい食べ物…野菜・果物の皮。冬瓜、ハトムギなど。夏ならスイカの皮に近い果肉の部分を炒め物にするなどが最適。

(取材協力=アイニンファンファン(東京・麹町)電話03・5210・3587)

◇羊子(ようこ)先生のプロフィル

出身は、ヒツジが食べると痩せてしまうという不思議なお茶「柳茶」のふるさと中国・チベット。北京で中医学(中国漢方)を勉強したのち渡米、ホリスティック栄養学を学ぶ。ダイエット指導のスペシャリスト。

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