百歳への招待「長寿の源」食材を追う:ヤーコン
ヤーコンとアマランサスは、ともに南米アンデス山脈が原産。効用の高い食品だ。いずれも美味でヘルシー。ヤーコンは利用範囲が広くダイエット効果が大きい。保存性もよい。アマランサスは穀物用、野菜用ともに成分面でも優れ、東北地方で量産。美味で価格も安い。いずれも健康食品の店で取り扱われている。
(食品評論家・太木光一)
ヤーコンは南米アンデス山脈原産のキク科の根菜で、ペルー・エクアドルに分布する。株はヒマワリに似ており、茎葉とも小株で晩秋に塊根を形成する。草丈は一~二メートルに達する。日本には一九八五(昭和60)年に導入され、栽培されている。サラダ以外に酢の物・和え物・炒め物・揚げ物・煮物などに幅広く利用される。しかし生産量が少なく知名度はあまり高くない。
栽培は水はけの良い土地が望まれる。霜をさけてできるだけ早く植えると収量が良くなる。肥料は馬鈴薯と同程度でよい。収穫期は10月から12月。家庭菜園でも容易に栽培できる。早く収穫すると割れの少ない水々しいイモが多くとれ、収穫が遅れると割れが多くなる。
ヤーコンには、フラクトオリゴ糖と食物繊維が非常に多く含まれている。フラクトオリゴ糖はショ糖(砂糖)にフラクトース(果糖)分子が一~八個結合したものの総称で、ショ糖の約三分の一の甘味を持ち、次のような健康機能(生理機能)を持っている。
(1)虫歯になりにくい
(2)難消化性(胃や小腸で消化されない)のため、低カロリー・ダイエット効果が大
(3)ビフィズス菌が増殖し、腐敗菌が減少して、便性が改善される。下痢もしなくなる
(4)便秘が改善される
(5)肝臓の解毒に対する負担が軽くなる
(6)血糖値の上昇やインスリン分泌がほとんど生じない
(7)血清脂質が改善される
ヤーコンは天然フラクトオリゴ糖を最も効果的に多量に摂取できる食品といえよう。
ヤーコン塊根の分析値(可食部一〇〇グラム)は、水分八三・一、タンパク質一・〇、脂質〇・一、糖質一三・八、繊維〇・九、灰分一・一(いずれもグラム)。カルシウム一二、リン三四、鉄〇・二、ナトリウム〇・四、ビタミンではB1〇・〇七、B2〇・三一、C五(いずれもミリグラム)となる。
調理適性に優れる。煮物の場合は歯切れがよく、酢煮やいりどりなど和風の味が引き立ち、単独よりも他の材料と煮ると味が一段と引き立つ。天ぷらの場合、歯切れの良い味が生きてくる。ニンジンなどのかき揚げも評判のよい料理となる。中華風にしても歯切れよく人気メニューとなる。豆板醤やごま油がよく合う。
糖尿病などカロリー制限している人の食事として調理範囲も広く、一段の普及が待たれる。