細辛は日本ではウスバサイシンの根茎および根を乾燥したものを指す。中国ではウマノスズクサのケイリンサイシンの根をつけた全草を指す。レンコンは食材として煮物や天ぷらに利用されているが、中国では花・実・葉・根と部位別に利用。ともに根のもので、安価で極めて有用、庶民に親しまれている。

（食品評論家・太木光一）

レンコンは熱帯アジア及び東アジア温帯に生育するスイレン科の多年生水草。インドでは仏陀の誕生を告げて花開いたとされ、仏像に蓮花を捧げる風習がみられる。また中国では蓮花・蓮実・蓮葉（荷葉）・蓮藕（レンコン）と部位別に利用法が異なる。

蓮花は蓮花白酒の原料となり、古来の名酒の一つ。清の皇帝・乾隆が強壮・不老不死を願って愛用したのがこの酒で、自らも八〇歳の長寿を全うした。

蓮実は中国人の最も好むもので、月餅を始め各種の菓子のあんとなる。風味上品で健康にも良い。二〇〇〇年前の蓮実から花が咲いた例もあり、生命力は非常に強い。

蓮葉は荷葉（ホーイエ）と呼び、肉・魚・果物・野菜などを包むのに利用。通気性があり、葉緑素もあり、防腐力も大。中身がむれて腐ることもない。荷葉飯・荷葉粥などに利用される。

蓮藕はもち米詰め、レンコンだんごの鶏糸添え、藕粉（くず湯）・はさみ揚げなどに利用される。蓮は花・実・葉・根などすべて活用される。

また漢方では利尿作用があり、血液を浄化し内臓機能を活発にし、ノイローゼ防止、腸内の異常発酵を防ぐ効用が高いとしている。

『中薬辞典』によると蓮藕は清熱・凉血・散熱・吐血・健脾・開胃・益血・止瀉ほかに効力大としている。蓮節の部分は止血・吐血・尿血・便血などに良いとする。さらに蓮藕からとれるでんぷんは益血・止血・開胃ほかの病に良いとし内服を勧めている。

中国では高い評価をしているが、インドでは古代から民族の伝承で生命の創造あるいは豊熟・繁栄・長寿・名誉・神聖・不死などのシンボルとして崇めている。

日本での流通は秋から冬にかけての、ひねレンコンが主流だ。新レンコンは５月下旬から８月中・下旬まで出回る。この品種は花の赤い備中、白い花の白加賀など。関東では茨城、関西では徳島が主産地。

レンコンは円筒形をしており、中に数個の気道がある。白花種は節間が長く穴は少ない。赤花種は節間が短くて太くて軟らかいので煮物に適している。

レンコンは切って空気にふれると異変がみられるが、これは鉄分とタンニンによるもの。調理に当たっては、切ったらすぐ一〇％の酢を加えた水にひたしておくと白く出来上がる。

品選びは、外観がよく、太くて、節の間も長く、外部は乳白色で、肉質が軟らかく、しかも歯切れの良いものが良品。