百歳への招待「長寿の源」食材を追う:セイボリー

2000.03.10 54号 11面

セイボリーはシソ科のハーブで品種が多く、この代表種が宿根草の「ウインター・セイボリー」と一年草の「サマー・セイボリー」。ともに地中海産でローマ時代から香りが良いと愛されてきた。和名では「キダチハッカ(木立薄荷)」と呼ばれている。サマー・セイボリーは草丈六〇センチほど。刺激的な芳香があり、白または薄紫色の小花をつける。多年草のウインター・セイボリーは風味もよく耐寒性も強い。しかも栽培は容易である。

セイボリーの風味はかなりきつく、タイムに似たところもみられる。開花の後よりも前の方が風味がよく7月上旬頃が最高となる。側枝が伸びるにつれて少しずつ摘んで使用する。また乾燥しても風味は落ちない。香りの特徴としては、やや樹脂臭がみられ、ほかのハーブと一緒に使われる場合が多い。ブーケガルニと呼ばれる香草束に加えられる場合もある。

じっくりと煮込む料理に向き、仔牛の煮込み、えんどう豆の煮込み、サバの煮込みなどに。このほかスープ・サラダ・ソース・ミートパイ・ソーセージなどに活躍する。ヨーロッパで豆のハーブと呼ばれ、いんげん豆・グリーンピース・そら豆・えんどう豆などの料理に香りづけとして欠かせない。

豆好きのドイツ・スイス・フランスなどでは多用されるが、日本では馴染みが少ない。ほろ苦さと芳香が身上のハーブで、サラダの上に生の葉を刻んでかけたり、葉をビネガーに漬け込んで香りの高いドレッシングづくりなどに利用したりするのが、極めて効果的といえよう。またドイツでは有名なグリューネ・ゾーゼ(薬草のソース)として信者が多い。

セイボリーは消化を助けるハーブとして古くから信じられてきた。消化作用があるばかりでなく整腸作用もみられ、消毒作用もみられる。昔から惚れ薬として知られていた。ギリシャ、ローマ時代から用いられていたという。性的に弱くなった男性の回春作用にも威力を発揮する。不感症の女性にも同様の働きが期待される。中国にみる強精回春薬にも匹敵。この点で高齢者にも人気が高い。

セイボリーの葉の乾燥したものを小さじ三分の一とブランデー六〇㏄を乳鉢でよくすり合わせ、茶こしでこし、卵黄一個分、生クリーム三〇㏄、ハチミツ大さじ一を加えて混ぜ合わせ、冷やしてグラスに注ぐ(二人分)。これがセイボリーのナイトカクテルである。

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