脳活性大作戦 脳力アップの食べ方 きょう冴えている人になる秘訣
長期的な視野で記憶力低下を防ぐ、イコール脳の酸化を防止する作戦は分かった。次は本日のアナタの脳ミソをパワフルに全開し、集中力、判断力を高めるための食事法をみていきたい。海苔に含まれるコリンが脳へスムーズに栄養を運びやすくすることについてはすでに触れたが、さてその栄養とは何か。それはズバリ、ブドウ糖。脳の唯一のエネルギー源、ブドウ糖をいかに効率よくキープするか。職場で家庭で、「きょう冴えてるね」と言わせるポイントは、ここにありそうだ。
ダイエット中、思わずボーッとして、仕事や日常生活でミスをやらかしてしまった…というのはよくある話。これはお腹がすいているためだけでなく、脳の唯一のエネルギー源・ブドウ糖が満足に行き渡っていないせい。頭をはっきりさせるためには糖質をきちんととることが大切だ。
しかし、果物や蜂蜜に多く含まれるブドウ糖は、吸収が速く即効性があるが、余った分は中性脂肪となり皮下に蓄えられるため、肥満の原因になることは事実。ダイエット中なら後にブドウ糖に分解される、米や芋などの多糖類で摂取するとよい。
脳の重さは体重の二%にすぎない。にもかかわらず、二○%もの酸素と栄養を必要とする。
ここへの血液が数分間止まっただけで、脳細胞はほとんど死滅してしまうという。
たくさんのブドウ糖(約一二○g)を脳へ送ってやらなければならないワケだが、血液中のブドウ糖の量は、脳の機能を支えるには一時間で使い果たしてしまうほどごくわずか。そこでブドウ糖をグリコーゲンという多糖類に変えて肝臓に蓄えている。
「それでも肝臓に蓄えられる分は最大約六○g。一日三回しっかり食事をしないと、脳をはじめ全身のエネルギーが不足します」(中川氏)。
睡眠中、身体のエネルギー消費量は二割ほど減る。でも、脳は二四時間休みナシ。眠りをコントロールするのに夜中じゅう働いてエネルギーを消費する。朝食を抜いたりすると、脳は疲労困憊。
「人間には体温のリズムもある。午後四~五時ごろ最高になり、夜中に最低になるのが一般的。体温が上がると頭の温度も上がり、頭が働きやすいのです」(中川氏)。
昼型社会で活動する人は、午前中から頭が回るよう、バランスのいい朝食が欠かせない。
「六三歳から九一歳まで八○人の高齢者に週一回ドイツ語を教えたところ、半数以上が学童が三年かかって達するレベルの試験に三ヵ月で合格したという外国の研究結果もある。定年を目前に、自立のため社会保険労務士などの資格取得に挑戦するのは、脳のためにもまさに絶好と思われます」(東京大学医学部音声神経科学部門の杉下守弘教授)。
記憶力・学習能力の向上をうたったDHA含有商品は、3~4年前一大ブームとなったが、これはむしろ子供から成長期までの脳に有効。「取り過ぎると身体を酸化させるDHAはかえって脳を傷めることも。(株)ビー・エム・エル総合研究所の中川八郎氏は「成人の場合はバランスの良い食事が何より大切」という。
紫外線を大量に受けると、身体の中では酸化につながる物質がたくさん作られる。オゾン層の破壊が進むいま、海苔などの抗酸化食品は現代人に欠かせない。ご飯の糖分と組み合わせれば、きょうも明日もアタマのいい人。