ザ・ニッポン地方発 鮎(栃木・茂木町) やなの上でつかみ取り

1997.09.10 24号 17面

暑い夏の八月一日、栃木県の東部に位置する芳賀郡の茂木町に、本格的なアメリカン・モータースポーツが楽しめる大型レジャー施設(ツインリンク茂木)がオープンした。山を切り開いた広大な敷地に、世界で初の二つのレース場を持つ。世界のレーサーが、またモータースポーツを愛するファンが大勢この地を訪れることになる。

自然と融合する施設のコンセプトに合わせて飲食も考えられ、地場の食材やオーガニック料理が取り入れられた。那珂川が、山峡を縫って流れており、山間では、ソバ、シイタケ、コンニャク芋、柚子の栽培が盛ん。四季折々の特産物がいろいろある。

早い流れと豊富な水を貯えた那珂川は、夏の間は鮎のやな(水を一ヵ所に流して魚をとる仕掛け)があちこちに出来て賑わう。大瀬やなは漁業組合の経営だ。十一月中旬の落ち鮎までベテランのおじいさん組合員が、毎日乱獲を取り締まったり川の汚染に目を光らせていることを、大きな声で説明してくれた。

そばで、組合員の孫たちだと言う子供たちが水遊びしながら、やなに上がってきた鮎のつかみ取りをしていた。小振りでスマートな天然鮎はピチピチはねて、小さい手から落ちては、やなの上で跳ねまわっている。時折、籠を持った組合員のおじいさんが、鮎を運んでは、竹串をさして炭火で焼いたり、小さい鮎はから揚げにしたりして、次々と大広間のテーブルに運ぶ。

久しぶりに天然の鮎の塩焼きの旨さに感動し、自然を満喫したひとときを過ごした。

(自然食料理人・田村匡世)

◆鮎のせごし(4人分)

材料=鮮度の良い鮎4本、山葵適量、たでの葉少々。

作り方=(1)鮎は頭と内臓をとり流水できれいに洗う。(2)出来るだけ薄く輪切りに切る。(3)たでの葉はみじん切りにする。(4)冷やした皿に盛り、たでと山葵を添える。

◆鮎どんぶり(4人分)

材料=小さい鮎12本、片栗粉適量、揚げ油適量、だし汁200cc、酒大さじ2杯、砂糖小さじ1杯、醤油大さじ2杯、みりん大さじ2杯、米2カップ。

作り方=(1)鮎は洗って、水気を取り片栗粉をつけて、中温でゆっくり揚げる。(2)鍋にだし汁と調味料を入れ火にかけ、味を調える。(3)ご飯を丼に盛り、鮎をのせ、上からたれをかける。

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