メニュートレンド:だし巻き卵ホットサンド パンメニューのニュートレンド

2016.02.01 443号 02面
「だし巻き卵ホットサンド」800円(税込み) 温めることでマヨネーズが程よくとろける

「だし巻き卵ホットサンド」800円(税込み) 温めることでマヨネーズが程よくとろける

「割烹船生」は都営浅草線・本所吾妻橋駅から徒歩5分の立地。“ザ・割烹”といった印象の店構えだ

「割烹船生」は都営浅草線・本所吾妻橋駅から徒歩5分の立地。“ザ・割烹”といった印象の店構えだ

 パンケーキ、厚切りサンドと続いたパンメニューの次の注目株がホットサンド。某人気テレビ番組でお薦めホットサンド店のランキングを紹介するなど、今、ホットサンドがきている。番組で紹介された一軒、「割烹船生」の船生宜之店主は、割烹でホットサンドを提供するという斬新な発想の持ち主。割烹にパン? ホットサンドにだし巻き卵?といぶかしむことなかれ。既成概念を超えた相性抜群のアイデアメニューだ。

 ●割烹ならではのホットサンド 具が卵だから仕入れのロスなし

 卵サンドといえば、ゆで卵をつぶして、マヨネーズであえたものをパンに挟むのが定番。その卵をだし巻き卵に変え、さらにホットサンドメーカーで焼いたのが「だし巻き卵ホットサンド」。

 船生店主によると「このメニューの開発後に知ったことですが、関西では厚焼き卵サンドを出す店が珍しくないようですし、関東でも麻布にある老舗甘味処ではだし巻き卵サンドを提供しています」と厚焼きやだし巻きのサンドイッチはアリのようだ。

 また割烹とパンはミスマッチの印象があるが、「修業時代にエビのすり身をパンに付けて揚げた一品を作ったことがあります」と和食とパンの組み合わせもあるらしい。となると、「だし巻き卵ホットサンド」は誕生すべくして世に出た、むしろ“ありそうでなかった”アイデアメニューといえるかもしれない。

 「だし巻き卵ホットサンド」に使用するだし巻き卵は、船生の通常のものよりもだし汁がかなり少ない。通常だと卵とだし汁が同割のところを、7対3にしている。パンに挟んで、ホットサンドメーカーでプレスしたときに、だし汁がしみ出しすぎないようにとの配慮だ。だし汁の調味は薄口醤油:みりん=2対1。

 食パンは8枚切りを使用。「6枚切りだと厚すぎるし、サンドイッチ用の10枚切りでは薄い。卵焼きとパンの厚さを揃えたかったので」と船生店主。

 パンにマヨネーズを塗り、黒コショウをふりかけて卵焼きを挟む。マヨネーズも黒コショウも、和食とはなじみが薄いが「“沢煮椀”という豚ばら肉と千切りにした野菜で作る塩味の汁わんでは、仕上げに黒コショウをかけます。和食にマヨネーズは使いませんが、“卵の素”という卵黄とサラダ油を混ぜた、酢の入っていないマヨネーズのようなものがあり、いろいろな料理のつなぎに使います」と黒コショウもマヨネーズも、和食とあながち疎遠ではない。マヨネーズが、“和”のだし巻き卵と“洋”のパンをつなぐ役目をしている。そして、これをホットサンドメーカーで焼く。「焼くことによって、パンが香ばしくなります。オーブンで表面に焦げ目を付けるだけでもいい」

 このメニューの利点は、パン以外に新たな食材を仕入れずに済むこと。従ってロスが出ず、オペレーションも容易だ。「割烹船生」では、この他にもカキのオイル漬けや鶏肉の甘辛煮など一品料理として提供しているものを挟んだホットサンドもある。「手間はかからないのに、ホットサンドにするだけで新しさと話題性がありますね」と割烹とホットサンドのコラボの可能性は大きい。

 ●店舗情報

 「割烹船生」 所在地=東京都墨田区東駒形3-5-6 千葉ビル1F/開業=2011年10月/営業時間=午前11時30分~午後2時、午後6時~11時 日・祝祭日定休/坪数・席数=9.3坪・13席/1日平均客数=約20人/平均客単価=昼1300円、夜6000円

 ●愛用資材・食材

 「うすくちしょうゆ」 ヒガシマル醤油(兵庫県たつの市)

 卵焼きの色味を生かす醤油

 おだやかで軽快な芳香を持つ、熟成を重ねた淡口醤油。化学調味料、保存料、着色料、甘味料不使用。「素材本来の色を生かすには、やっぱり関西の淡口醤油。この醤油なら、卵焼きの黄色がきれいに出ます。色は薄くても、醤油の香りがしっかりあり、コクも十分。だし巻き卵の味付けには欠かせませんね」と船生店主。

 規格=1.8L

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