そば・うどん店 “変わり種”がトレンドに

1994.12.19 66号 2面

そば・うどんに対する消費者の好みが多様化し、“変わり種”を売り物にするそば・うどん店が人気を集めているが、その一方で、そば・うどん離れが指摘されている。いわゆる“のれん”を守っている旧来の店が不振を強めているなかで、固定観念にしばられず斬新なメニュー開発によって集客力を高めているということだ。(社)日本麺類業団体連合会と(財)外食産業総合調査研究センターが共同で今年6月に実施した調査でもそれが裏づけられている。

同調査によると、かなりのそば・うどん店が「そば・うどん離れ」を指摘しているが、それ以上に「消費者の嗜好の多様化」をあげており、また「高くても味の良いものが求められている」ことを指摘、メニュー開発や品質向上策が今後の経営対策の重点課題であると結論づけている。

外食総研の推計によると、平成5年の外食産業市場規模の伸びは〇・九%増にとどまったのに対して、給食弁当を除いた料理品小売業の伸びは四・四%増となっており、テークアウトや宅配などの中食産業の成長がそば・うどんの出前と大きく競合するようになっていることを示している。

こうした事業環境の変化は地域的にはほとんど変化はない。しかし、これをそば・うどん店の売上高規模別にみると、経営者の事業環境に対する受けとめ方に違いが出ている。つまり、売上げ規模が大きい店ほど「そば・うどん離れ」を指摘する比率が少ないということだ。例えば売上高が五〇〇万円~一〇〇〇万円未満では「そば・うどん離れ」の指摘率が五二・六%と高いのに対して、一〇〇〇万円~二〇〇〇万円未満規模では二九・四%に下がり、二〇〇〇万円~五〇〇〇万円未満規模では一六・九%、五〇〇〇万円~一億円規模では一三・〇%、一億円以上規模では一一・一%と比較は小さくなっている。

逆に「高くても味の良いものが求められている」との指摘率は売上高規模が大きくなるにしたがって高くなっている。また、「出前の減少」についても売上げ規模が大きくなるほどその指摘率は小さくなっている。経営姿勢が積極的か消極的かによって、事業環境の変化に対する見方も大きく変わっていくということだ。

今回の調査結果を総合的にまとめてみると、郊外立地店では家族連れと若い女性客層の開拓が大きな課題になっていることだ。メニューの面では家族全員の多様な嗜好に対応できるバラエティー化を図ることが指摘できる。さらに若い女性にアピールする“変わり種”の斬新なメニューやセットメニュー化も求められる。ディナータイムに集客を上げられる単品料理を揃えることも対応策の重要テーマになるところだ。

景気低迷の中で、かなりのそば・うどん店が売上げ、利益とも減少を強いられている状況のなかで、当面する経営対策は「新商品開発」(四七・〇%)と答える経営者が半数近くに達している。“変わり種メニュー”が今後のトレンドになる可能性が高い。

客層の変化をみると、現在最も多い客層は「男性四〇代」の六三・三%。ついで「女性四〇代」の四一・六%、男女とも四〇代の客層が非常に多いということになる。また、「家族連れ」が三二・五%と比較的高い比率で「夫婦連れ」一九・三%、「若い男女のカップル」一八・一%となっている。

逆に比率の低いのは、「高校生・中学生」〇・六%、「男性二〇代」六・〇%、「女性六〇代」七・二%などで、若年層が中心のそば・うどん店はきわめて少ないことを示している。

立地別、地域別に最も多い客層をみると、「郊外・幹線道路沿い」で「家族連れ」の比率が五七・九%ときわめて高いのが特徴となっている。

一方、減ってきた客層は「家族連れ」一三・三%、「男性二〇代」一二・〇%、「女性二〇代」と「高校生・中学生」一一・四%となっており、家族連れと若年の客離れを指摘する店が比較的多い。

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