さわやかな和柑橘フレーバーが国内外の食品に続々と
ユズやカボスなど国産の和柑橘果汁やフレーバーを使った加工食品が増えている。限定商品に多く使われる傾向にあるが、酒類をはじめ飲料や菓子など大手メーカーの基幹商品でも採用が相次ぐ。
リッチでプレミアム感のある爽やかな香りを安定供給するため、香料メーカーと自治体の連携も進む。地域の特産品としてブランド化された柑橘類も少なくない。国内はもとより海外では抹茶に次ぐ「ジャパニーズフレーバー」として注目を集めそうだ。
和柑橘を使った商品開発が活発化している。明治は1月、人気の「明治ザ・チョコレート」シリーズからユズ果汁パウダーと高知県産のユズ皮を練り込んだ「同弾ける香りゆず」を発売した。
サントリー食品インターナショナルは、4月に和柑橘フレーバーを隠し味に使った「ペプシ ジャパンコーラ」を市場に投入。カルビーは年初に期間限定で発売した「ポテトチップス 醤油香るかぼす味」を7月に再販売した。
今秋はサッポロビール「サッポロチューハイ99.99クリアユズ」、サントリースピリッツ「-196℃ ストロングゼロ〈柚子ダブル〉」、宝酒造「寶CRAFT〈南房総夏みかん〉」など、それぞれ数量、期間、販売エリアを限定した“限定発売”のアルコール飲料が登場。
さらにサッポロビールは「サッポロ マグナム〈レモン〉」「同〈シークヮーサー〉」、宝酒造は「焼酎ハイボール〈ゆず〉」を通年販売するなど、柑橘系フレーバーの定番化が進んだ。
自治体と香料会社の連携も進む。小川香料は今夏、大分県と香りに関する連携協定を締結。カボスなど大分県産の柑橘類を利用した天然香料やエキスを開発し、付加価値製品として国内外に売り込む。研究所設置協定を結んだ大分県佐伯市とは香りの研究開発を行う。
来年以降順次、国産シークヮーサーやスダチ、大分県産レモンを使った天然香料の販売を開始する。業界からの関心も高く、8日に名古屋で開催された製品展示会には70人を超える食品メーカーの開発担当者が集まった。
和柑橘の産地では「大分かぼす」「木頭ゆず」「桜島小みかん」「辺塚だいだい」など、農林水産省の地理的表示(GI)保護制度の認定を受けた産品のブランド化が進む。
高知県によると、特産品であるユズの2018年輸出額は前年比16%増の3億4158万円で過去最高を記録した。主な輸出先はフランスで、和を感じる食材として料理や食品加工に使用されているという。日本の和柑橘が海を渡り、海外でも存在感を高めている。