牛乳・乳製品、軒並み前年超え 行動変容色濃く反映 20年家計調査

 2020年1~12月の牛乳・乳製品の1世帯当たりの消費金額が、各カテゴリーで軒並み前年を上回ったことが、総務省「家計調査」から分かった。20年は新型コロナウイルス感染拡大によって消費者を取り巻く外部環境が大きく変転した1年だったが、その時々の出来事によって変容した行動を大きく反映している。

 一方、21年度の国内生乳生産量は引き続き増産が見込まれているが、今後の需給緩和と逼迫(ひっぱく)は、高まった家庭内需要をいかに堅持するかが鍵を握ると予想される。

 カテゴリー別には、牛乳が前年比4.8%増の1万5897円。3月から長期にわたってとられた臨時休校措置で学乳の一時停止の影響が懸念された一方、農林水産省の「プラスワンプロジェクト」などで家庭での飲用機会が増えた。

 前年まで機能性ヨーグルトの成長が落ち着き、伸長が一段落していたヨーグルトは、体調管理需要の高まりから、感染拡大初期から前年超えで推移。トータルで同6.3%増の1万3991円。乳酸菌飲料全体でも同様のニーズが強まったと考えられ、同5.5%増の4209円となった。

 家庭内での調理需要の高まりは、バターとチーズの消費を大きく押し上げ、特に春の緊急事態宣言下で消費金額は大幅にアップした。バターは同24.4%増の1400円で、供給が一時間に合わないほど購入が進んだ。調理用途のシュレッドや、製菓用途のクリームチーズなどのニーズが高止まりしたチーズは、輸入数量は久々に前年を割り込んだものの(本紙2月3日付既報)、根強い消費が進み、同12.3%増の6788円となった。

 アイスクリームは「巣ごもり消費」でマルチパックアイテムなどホームタイプ商品の購入が進んだが、7月の天候不順でペースダウン。ただし「GoToトラベル」開始後の猛暑で再び伸びを見せ、同4.2%増の1万0113円で1年を閉じた。

 1月には再び緊急事態宣言が発令されるなど、あらためてコロナ禍は長期化の様相を呈しているが、前回の緊急事態宣言と同様の現象が起きているとは言いがたい。Jミルクが1月に公表した21年度の需給見通しでは、生乳生産量は3年連続の増産が見込まれており、製品における生乳使用率の引き上げや、乳製品処理の最大化などの取組みも並行して進める必要を強調。高水準の家庭内消費をいかに堅持していくかが、生産基盤安定化の面でも重要となってくる。(小澤弘教)

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