話題の飲食施設 「パルロード赤羽」 地域最大の飲食ゾーン出現

1995.12.18 91号 20面

JR赤羽駅西口地区の再開発事業として、11月10日、地上一八階、地下二階建ての高層複合都市ビルが完工、これに伴って、地下一~地上二階部分の商業施設(ショッピングセンター)「ビビオ」がオープンし、地域の活性化に大きな役割を果たしている。

また、ビビオと一体化する形で南側隣接地に地上一一階、地下二階の都市ビルも完成し、計画どおりに地下一~地上六階にイトーヨーカドーが開業した。

このほか、イトーヨーカドー、西側部分に独立区画する形で、地域の地権者たちが入居する地下一階、地上二階建ての「ループ館」も同時オープンした。

これら三つの商業施設には物販、サービスショップとともに、飲食店舗も出店しており、赤羽地域では最大のビルイン店舗群として、独自の集客力を発揮している。

飲食店舗(営業中)はビビオに九店、イトーヨーカドーに八店、ループ館に八店が展開しており、地域住民の飲食ニーズに対応している。

赤羽駅西口の再開発事業は、住宅・都市整備公団によって進められてきたもので、昭和56年6月に計画が決定し、昭和61年3月に第一期計画として地上一四階、地下二階建ての高層ビル「アピレ」が完成、現在第一街区「パルロード1」として機能している。

このビルは地下一階が飲食・食料品、地上一~三階が物販、四~一四階に住宅(一二二戸)が入居するというフロア構成で、複合都市ビルとしての性格にある。

ビビオ、イトーヨーカドー、ループ館の建設は第二期計画として具体化されたもので、ビビオを第二街区「パルロード2」、イトーヨーカドー、ループ館を第三街区「パルロード3」とゾーニングし、全体を「パルロード赤羽」としてアピールしている。

赤羽は東京・北区にあって「赤羽団地」や「桐ケ丘団地」の大規模住宅地の存在で広く知られ、東京北部の人口密集地だ。

鉄道は京浜東北、東北本線、高崎線、埼京線など四線が乗り入れており、沿線では有数のマンモス駅だ。

駅は東口、西口、南口のエリアに分かれるが、街としての広がりは東口地区に大きく比重がかかっており、ダイエー、西友、長崎屋などの量販店もこのエリアに展開する。

このため、消費者の流れは東口に集約されるという状況にあった。西口地区の再開発事業は、東西のバランスをとるという考えのほか、西口の活性化によって街全体の集客力を高めるという狙いもあるわけだ。

イトーヨーカドーは赤羽進出にあたっては、世帯数一三万、商圏人口三〇万人と位置づけている。

〓〓 ビビオ 〓〓〓〓〓〓〓〓

ビビオは地上一八階、地下二階建ての高層ビルで店舗、オフィス、公益施設、スポーツ施設、住宅(二二〇戸)が入居する。

店舗部分は地下一‐地上二階までで、物販、サービス、飲食など計四〇店が出店。売上げはトータル初年度三〇億円を目標にしている。

飲食は地上一階に三店、地下一階“味の共演フロア”に九店舗が集中出店している。

地上三店舗および地下店の一部については、実質は地権者が単独出店する形態をとっているので、ビビオの施設管理とは一体化することにはならない。しかし、便宜的にはパルロード2の施設という解釈だ。

「利用客にとっては、すべて一体化した施設と考えられるでしょうから、表面的にはビビオ内の店舗ということになっていますが、実際は地権者の単独出店ということであるのです」(ビビオ管理会社、都市再開発(株)/本社=東京・新宿)

“味の共演フロア”は床面積約三〇〇坪、客席数四〇〇席前後。高層ビル内の飲食ゾーンとしてはそう大型のものではない。

エスカレーターで地下一階に降りると、小さな空間(広場)および通廊に沿って店が展開するが、正直いって賑わいに欠けるという印象だ。

フロアコンセプトとしては、賑わいの欠ける分、各店の個性と味で勝負ということだが、現在のところはその成果は十分に出ていない。

客層は地域の三〇~四〇代の女性(主婦)客を主力ターゲットに、客単価昼八〇〇~一〇〇〇円、夜二五〇〇~三〇〇〇円を設定している。

客の利用形態は、土・日はイトーヨーカドーなどからの買い物客やファミリー客の流れがあるが、平日は全般的に客数が少なく、トータル的には集客に苦戦しているという状況だ。

初年度売上げは施設全体で三〇億円を目標にしているが、果たして思惑どおりに推移するかどうか、これからの集客力の増大が望まれるところだ。

〓〓イトーヨーカドー〓〓〓〓〓〓〓〓

イトーヨーカドー赤羽店はパルロード3に位置して、地下一階~地上六階の七フロアに出店している。

延床面積一万三五〇〇坪、店舗面積は直営部分が四一六〇坪、テナント九〇〇坪、共有面積六〇〇坪で衣料、住居品、食料品、飲食など合わせて三八店が展開する。

飲食分野はイトーヨーカドーフロア最上階の六階に五店、地上二階に二店、地下一階に二店の計八店舗を出店しており、ショッピング客を主体に地域来街者の飲食ニーズに対応している。

イトーヨーカドー赤羽店全体の売上げは初年度一〇五億円を目標にしているが、ビビオの売場と異なって活気があり、とくに土・日は買い物客や飲食目当てのファミリー客で大賑わいという状況をみせている。

売場のゆったりとした空間、品揃えの豊富さなどで集客力を大きく発揮しているということだが、地域および沿線住民に待望されていた出店であっただけに、売上げ目標は十分にクリアできそうだ。

〓〓 ループ館 〓〓〓〓〓〓〓〓

ループ館は地域の地権者たちが区分所有の形で出店する商業施設で、地下一階から地上二階の三フロアで構成されている。

店舗は現在営業しているのが、パチンコ、銀行、書店、薬局、医院、教室、不動産会社など二二店だが、入居予定が地下に一店、地上に二店の計三店舗(飲食)あり、これは来年2、3月ごろまでにはオープンする。

営業中の飲食店舗は地下一階に六店、地上一階に一店の計七店で、入居予定の三店が出店すると計一〇店舗になる。

これら飲食店舗はビビオ、イトーヨーカドーの飲食ゾーンと差別化する意味で、ファストフード、スパゲティ、食堂の三店を除けばスナックが主体だ。

店舗面積一五~二〇坪前後。夜のアルコール営業で地域のサラリーマンの飲食ニーズにターゲットを合わせているということだ。

ビビオの一二店、イトーヨーカドーの八店、ループ館の一〇店を合わせ計三〇店舗。赤羽西口に一大飲食ゾーンが出現したことになるが、果たして思惑どおりの営業成果があげられるかどうか注目されるところだ。

イタリア料理「プレーゴ」。ビビオの中で唯一好調な飲食店舗。店舗面積40坪、客席数66席。客層は主婦、OL、女性グループ、サラリーマン、ファミリー客と多様。客単価昼1000円、夜3000~4000円、月商1000万円前後(推定)

全農系列。店舗面積50坪、客席85席。鹿児島黒牛の焼肉が看板料理の「味楽来」。スタミナ焼定食1500円、石焼ビビンバ950円、キムチチゲ800円が評判。客単価夜3000円。土・日は平日の3~4倍の来客数があるが、平日は1回転くらい

○ビビオ(一二店)

〈地下一階〉

・肉・海鮮(焼肉)「味楽来」

・釜めし・焼き鳥「藩」

・ピザ・イタリア料理「リストランテPREGO」

・お好み焼・たこ焼「EDO亭」

・甘味処「おもちや」

・インド料理「マラバール」

・とんかつ「こうえつ」

・中国居酒屋「美酒小菜・小吃坊」

・居酒屋「赤羽亭」

〈地上一階〉

・コーヒー「カフェド・ジャスミン」

・喫茶「コーヒーあかばね」

・立喰そば・うざん「だるまそば」

○イトーヨーカドー(八店)

〈地上六階〉

・レストラン「ファミー ル」

・とんかつ「いなば・和 幸」

・うどん「実演手打ちめん杵屋」

・ラーメン「芝のラーメ ン」

〈地上二階〉

・喫茶「ALO ALO」

〈地下二階〉

・回転寿司「志ん橋寿司」

・ファストフード「ポッ ポ」

○ループ館(一〇店)

〈地下一階〉

・スパゲティ&サラダ専門店「SPAGHETTI SUSUMU」

・酒蔵「崑崙」

・スナック「花馬車」

・スナック「隠恋暮」

・スナック「カネファー」

・季節料理おでん「四季」

・洋風居酒屋(予定)

〈地上一階〉

・ファストフード「サンロード」

〈地上二階〉

・軽飲食(予定)

・スナック(予定)

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