アイスクリーム市場、過去最高規模に 変化対応図り反転攻勢

 日本アイスクリーム協会が23日に発表した2020年度(20年4月~21年3月)アイスクリーム販売実績は、メーカー出荷ベースで前年比0.9%増の5197億円となり、過去最高の市場規模を記録した。19年度に一服感のあった同市場だが、20年度のコロナ禍で業務用商品への影響が大きかったものの、温暖な天候要因がプラスに作用。加えて消費行動の目まぐるしい変化に対応したチャネルミックス、プロダクトミックス、プロモーションミックス戦略を各社模索し、消費拡大に努めたことが反転攻勢を実現させたようだ。(小澤弘教)

 20年度は上期の苦戦を下期でカバーした1年となった。年間を通して全国的に気温の高い状態が続き、7月は東・西日本を中心に記録的大雨や日照不足となり、梅雨明けも近畿・東海・関東で平年より11日遅くなった。しかし、8月に入ると一転して全国的に晴れて記録的高温となるエリアもあり、下期を通して暖冬傾向。特に3月は桜の開花が東京で平年より10日早いなどの温暖化傾向が見られ、売上げにもプラスに作用したようだ。一方、外食産業と関わりの深い業務用商品は、コロナ禍が大きく影響。形態別販売金額では前年から30%近く落ち込んだ。

 販売物量も上期の不振を下期に挽回した形だが、通期では86万3160klで前年を1.3ポイント下回った。結果としてリッター単価が上昇し、初めて600円台となった。

 販売状況では、高付加価値商品の効果的市場供給や、主力商品強化の一環であるバリエーション豊かなフレーバー品の投入が効果を発揮。季節性と連動したプロモーションの投入や、食べ方提案、SNSと連動した話題作りなど、コロナ禍で続く巣ごもり消費に合わせたさまざまな提案が奏功したようだ。

 種類別の販売状況を見ると、アイスミルクとラクトアイスが前年を上回り、アイスクリームと氷菓が前年を下回った。形態別にも巣ごもり消費を反映し、ホームタイプとマルチタイプが伸長率の上位。モナカもワンハンドの食べやすさや効果的プロモーションが後押しした。従来の形態にとらわれない商品も展開アイテムが増えており、継続的に伸びを見せている。

 アイスクリーム市場は11年度から7年間連続で市場を拡大していたが、19年度は天候不順の影響が大きく、前年を割り込んでいた。

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