アポなし!新業態チェック(197)「コスタコーヒー」CURA銀座店
●コスタコーヒー、銀座に旗艦店を出店 渋谷、大手町に続く3号店、初のイートイン席、フードも追加
昨年10月、双日ロイヤルカフェが展開する「コスタコーヒー」が3号店を銀座に出店した。同社は、ロイヤルホールディングスと総合商社の双日が2023年1月に設立した合弁事業会社。8月に出店した渋谷の1号店、9月の大手町店に続く銀座店は、初めてイートイン席を設けた旗艦店だ。地下鉄の東銀座駅に近い昭和通り沿いに、約60坪67席を備えたカフェとしてオープンした同店は、サステイナブルを意識した環境負荷の少ない店舗。内装には、同ブランドの本拠地である英国で築100年以上の建物を解体した際に出た古レンガ材や、リサイクル繊維で製造された椅子の生地、天然素材から作られた床材などが用いられている。
各店舗で共通して提供するコーヒーは、「エスプレッソ」(シングル390円、ダブル430円)や「ラテ」「カプチーノ」(いずれも、S490円、M550円、L610円)といった定番メニューのほか、「フラットホワイト」(540円)や「コルタード」(470円)のようなアイテムも用意されている。ドリンクはほかに、各種「フラッペ」やジュース類など。
また同店では、ロイヤルホールディングスが開発・監修した新しいフードメニューが導入された。4種類の小さなデザートをのせた「デザートプレート」(1280円)や、2種類のスープと3種類のパンから選ぶことができる「スープセット」(770円)などだ。
同ブランドはその後も、福岡空港内の店舗など出店が続いている。
(価格はイートインの税込み)
★けんじの評価 ペットボトル製品とのすみ分け課題か
「コスタコーヒー」は、イタリア出身のコスタ兄弟が1971年に英国で創業したブランドだ。英国を中心に欧州では広く知られており、アジアや中東などを含む世界各国に約4000店舗を展開している。19年にコカ・コーラ社の傘下に入ったため、翌年から日本でもペットボトルなどの製品が発売されるようになった。双日ロイヤルカフェが権利を取得したのは日本国内でカフェ事業を展開するフランチャイズ権だ。いろいろと複雑な経緯である。
あくまで一般論だが、企業のブランド政策を左右するブランディングのセオリーとして、「高級ブランドを大衆ブランドに拡大するのは容易だが、その逆は難しい」という説がある。例えば、有名ホテルのレストランで人気のカレーを、低価格のレトルトパック製品にして食品スーパーで販売する企画を立てたとしよう。これが成功する可能性は高そうだ、というのはご理解いただけるだろう。ではその逆に、食品スーパーで人気のインスタントカレーを、そのブランドのままホテルのレストランでメニュー化したら売れるだろうか(もちろんこれは極端な例なのだが)。
さて、「コスタコーヒー」はすでにペットボトルなどの製品が食品スーパーやコンビニで幅広く販売されている。確かに他の缶コーヒーなどよりは高めだが、それでもせいぜい200円前後の商品だ。このブランドをそのまま使って、1杯が500円以上もするようなカフェの多店舗展開が果たして可能なのか。その結果は、やがて判明するだろう。
◆外食ジャーナリスト・鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく、甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウオッチャー。
●店舗情報
「コスタコーヒー」CURA銀座店
開業=2023年10月6日/所在地=東京都中央区銀座5-12-6 CURA GINZA1階
●編集協力:株式会社イートワークス
http://www.eatworks.com/