おはしで防ぐ現代病:ブロッコリーのがん予防効果を確認
「ブロッコリーを頻繁に食べる人は、食べない人よりも胃がん・大腸がんにかかる確率が四~八割少ない」ことが、先頃、名古屋国際会議場で開催された日本癌学会総会で発表された。
同発表は、国立がんセンター研究所・佐賀医大・昭和学院短期大学などの共同研究『アブラナ科野菜、きのこと胃がん・大腸がんリスクについての多施設症例対象研究』に基づくもの。
すでにブロッコリーのがん予防効果については、米国ジョンズ・ホプキンス医科大学のポール・タラレー博士が、抗酸化物質「スルフォラファン」を発見し、その解毒メカニズムは世界的に知られている。
今回の国内研究チームの発表は、その学説を裏付ける臨床結果として注目される。
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日本癌学会総会(第六二回総会・名古屋)記事より
【目的】
胃がん・大腸がんとアブラナ科野菜やきのことの関連を多施設症例対象研究にて検討する。
【方法】
長野県内の四病院で収集した胃がん症例一四九例・対象二八七例、大腸がん症例一一五例・対象二三〇例について、食品摂取状況を半定量食品摂取頻度調査票より推定し、がんと食品の関連をロジスティック回帰分析で求めた。
【結果】
胃がんの予防効果は野菜全体では明らかでなかったが、食品別に摂取量で三群に分けた最多群の最少群に対するリスクは、白菜・ブロッコリー・ぶなしめじ・なめこで減少が見られた。また大腸がんでは、野菜全体と低カロテン含有野菜、食品ではブロッコリーで有意な減少が見られた。これらの関連は組織型や詳細部位によって差が見られた。
【総括】
アブラナ科野菜は胃がん・大腸がんに、きのこは胃がんに抑制的に働き、これらの野菜の効果は組織型別・詳細部位別に異なる可能性が示唆された。
【共同研究者】
春日好雄(長野松代総合病院)、小泉陽一(篠ノ井総合病院)、社浦康三(北信総合病院)、夏川周介(佐久総合病院)、池川哲郎、松沢恒友(農村工業研究所)