羊子先生の薬食同源:花粉症 水毒を出すショウガとナツメ湯を週3回飲みましょう
◆中国でも増えてきたのは、どうして?
中国でもここ一〇年くらい、南の大都市を中心に花粉症に悩む人が増えています。スギの木は少なく、いろんな植物の花粉の影響です。面白いのは日本のように、郊外に植えた木が大きな林になった時代から始まったのではないこと。郊外の自然の状態は同じなのに、人が住んでいる街が急激に都市化して、過密な生活環境でストレスを感じたり、運動不足になったりしたことが要因です。それで体質が変化し、免疫力が落ちてしまったんですね。
目・鼻・喉の炎症を止めるのは、免疫力を上げること。それには「気」を補うこと。「気」とは身体のパワーと病気への抵抗力、だから「補気」をすれば体力がアップします。それから鼻水がたくさん出るのは身体の中に「水毒」がたまっているからで、水分代謝を良くしてこれを改善します。
◆「補気」&「水毒を出す」メニュー
「補気」のメニューとして有名なのが「クコとナツメの鶏肉スープ」です。漢方のオウギを入れるともっといい。これを飲むと風邪もひきません。「水毒」を出すメニューとしては「ショウガ・ナツメ湯」。これも風邪の予防・治療、肩こり改善にもいいです。発汗、解毒、利尿効果が得られます。
スープは週に一回くらい、「ショウガ・ナツメ湯」はとても手軽なので、週二~三回、朝食後か夕食後の定番にするといいですね。
◆門番さんは悪い人を追い返す
漢方薬としてはオウギが主成分の『衛益顆粒(えいえきかりゅう)』がお勧めです。粘膜が強化されます。中国で長い歴史を持つ「玉屏風散(ぎょくびょうぶさん)」に由来する処方です。
中国の昔のお金持ちは、門と玄関の間に屏風を立てそこに門番さんを配置しました。外から中は見えないけれど、内側からは屏風の隙間から訪問者の姿が見えて、誰だか分かります。親しい人は招き入れ、怪しい人は中に入れません。
同じように、目・鼻・気管の粘膜を強化して、免疫を強め、必要な酸素・水分は通して、ウイルスや花粉はシャットアウトする。つまり、「屏風を立てて病気の侵入を防ぐ」という漢方薬です。
羊子先生のメニューを実際に手ほどきしてくれたのは、中医師の張立也さん。「ご家庭で20分以内で作れる季節の薬膳を、これからがんばって連載で紹介します」。
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●羊子(ようこ)先生のプロフィル
出身は、ヒツジが食べると痩せてしまうという不思議なお茶「柳茶」のふるさと中国・チベット。北京で中医学(中国漢方)を勉強したのち渡米、ホリスティック栄養学を学ぶ。ダイエット指導のスペシャリスト。
<姜棗湯(ショウガ・ナツメ湯)2人分>
生のショウガ5グラムの皮をむいて千切りにし、ナツメ6個と水200ccで10分煮込む。お好みで砂糖を入れても。
ショウガの香りがプーンとしてストレスも解消。お湯を飲んだ後で、ナツメも食べましょう。
<クコとナツメの鶏肉スープ>
取材協力=アンニンファンファン(東京・麹町)のこのメニューは、鶏に烏骨鶏を用い数時間蒸して下ごしらえし、スープに朝鮮人参も使っている。家庭では簡単に、鶏肉・ナツメ・クコ・オウギをアクを取りながら30分煮込み、最後に塩・コショウで味付けしただけでも、補気作用は得られる。
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一番高価な屏風は「玉(ぎょく)」で作られていたという。日本で販売されている『衛益顆粒』は、中国古典の処方よりも日本人の体質に合わせてオウギの分量を増やしてある。商品に関する問い合わせは、下記の薬局にて。