活性酸素のメカニズム カラダの酸化を防ぐ あくなき戦いに挑む基礎知識

2004.03.10 104号 2面

人間は酸素がなくては生きていけない。でもこの酸素、いったい何に使っているのだろうか。医師で落語家の福澤恒利さんに、酸素とカラダのメカニズムについて聞いた。

私たちは酸素を何に利用しているか、一言で言うと、酸素はエネルギー作りになくてはならないものなのです。

私たちは食物から摂取した栄養素を燃焼させることで日常生活に必要なエネルギーを作り出しています。全エネルギーの約九五%は細胞にあるミトコンドリアという小さなカプセルみたいなものの中で作られます。いわばミトコンドリアは細胞のエネルギー工場。ここで栄養素を燃焼させる働きに必要不可欠なのが酸素なのです。

ところが困ったことに、エネルギーを作り出す際どうしても「活性酸素」という副産物も発生してしまいます。

なぜ活性酸素が困りものか、ご説明しますね。

なんでもそうですが、物質というのは分子が集まってできています。その分子は、原子核の周りを電子が一対になってぐるぐる回る構造になっています。電子は、一対に揃って初めて安定な物質として成り立つもの。パートナーがいるからバランスがとれるんですね。

ところが活性酸素は、本来一対であるべき電子が一つ足りない状態なんです。すると物質はすごく不安定になるから、何とか他の分子から電子を一つ取ってこようとします。

まぁ例えるなら、恋人がいなくなっちゃって、すっごくイライラしているのと同じ。これが隙あらば誰かの彼女(彼)を奪おうと虎視眈々とアベックの間をうろうろしているようなもので、危なくってしょうがない。活性酸素というのは、そんな危ない存在なのです。

活性酸素を放っておくと、どうなるか。奴はやたらに反応性が高いものだから、ある細胞に近づくと、またたく間にその細胞の電子を奪い、傷つけたり壊したりします。近寄ると危険、まさにその男(女)凶暴につき、といったところです。

活性酸素によって電子が奪われることを「酸化」といい、酸化によって組織が傷つけら身体がサビついた状態になることを「酸化ストレス」といいます。酸化ストレスが動脈の内壁で起これば動脈硬化の原因になりますし、細胞の遺伝子(DNA)が傷つけられればがんの原因に。現在死因の三大生活習慣病、がん・心臓病・脳卒中を引き起こし老化の一因にもなるとあって、放ってはおけない問題なのです。

有害な酸化ストレスが、目に見えるのは日焼けによるシミくらい。自覚症状なく体内に蓄積され、さまざまな疾患が現れます。

活性酸素は酸素を利用する限り必ずできてくる物質。後から後から生まれキリがありません。しかし、ほとんどの活性酸素は、できるとすぐに水に変えられるよう処理システムが備わっているのですが、過剰にできた場合は酸化による健康被害が増大します。排気ガスなどによる大気汚染、タバコや人工添加物なども体内の酸化を進めます。つまり文明社会のもたらすさまざまなものが体内の酸化を進め、がんや動脈硬化の原因になっているわけです。

こうなったら、何とか酸化を防ぎたいですよね。活性酸素による酸化を防ぐことを「抗酸化」といい、ビタミンCやビタミンEなど抗酸化作用のある物質が活性酸素と戦ってくれます。「降参か、降参か」と。できるだけ抗酸化物質を含む食品を取るようにすることが、健康維持のあくなき戦いへの必勝法なのです。

◆プロフィル 福澤恒利(立川らく朝)さん

1954年長野県生まれ。杏林大学医学部卒業後、慶應義塾大学医学部へ入局、老年科学教室へ移籍し慶應健康相談センター(人間ドック)医長兼務。92年、メディカルサポート研究所を設立し、企業での健康教育やインターネットで医療情報を提供するなど多方面で活躍。98年、落語家立川志らくに客分の弟子として入門。2000年、本来の弟子として入門が許され、立川らく朝としてスタートを切り「健康落語」など創作。02年、表参道福澤クリニックを開設。03年「ドクターらく朝の健康と癒しの落語会」をスタート。著書「一笑健康」(春陽堂書店)、「外国で安心して医者にかかれる本」(主婦と生活社)、「怪我と病気の英会話」(新星出版社)、「熱く語る・企業のエイズ対策」(エフエー出版)など。

ホームページ「ご近所のお医者さん情報」http://www.gokinjo.co.jp

「立川らく朝」http://home.j01.itscom.net/rakuchou/

▽表参道福澤クリニック 東京都港区南青山3-18-20ワークス南青山4F、電話03・5775・4480

●披露目の会開催のお知らせ 家元・立川談志より許可を得、二つ目昇進!

4月2日(金)19時開演

於 東京・新宿明治安田生命ホール

出演=立川志らく、立川らく朝

ゲスト出演=立川談四楼、立川談春、柳家花緑、ミッキー亭カーチス

入場料=2500円(前売り)、2800円(当日)

予約申込先=電話03・3238・7845

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