3時のおやつと上手に付き合う法 中国お茶事情 薬膳アドバイザー・青柳敬子さん

1996.11.10 14号 3面

「幸福」を文字遊びして「口福」と書く。私は食べることにより生命を養う「薬膳」の勉強をして、食卓に上がるものはすべて健康=幸福を願うものと信じています。食べることによって手に入れるもう一つの口福、この素晴らしい考えは中国の方々の方がよく理解していますね。薬膳料理はまさにその考えと言えるでしょう。

さて、中国でお茶と言えば青茶の代表「ウーロン茶」を思い浮かべる方が多いと思います。しかし中国全土、同じお茶を飲んでいるわけではありません。

中国茶は大別すると六種類に分けられそれぞれ発酵度の違いにより緑、白、黄、青、紅、黒に分かれます。例えば上海や北京の多くの人は緑茶を飲みます。日本の緑茶とは違い、北京では薄黄色のジャスミン茶。

この理由は、中国のお茶の産地は上海以南の南、福建省など。産地近くに住む人々は様々な種類のお茶を飲みますが、輸送手段や梱包方法が悪かったその昔、茶葉の品質低下をごまかすために花の香りを吸着させた。これは香りを豊かにするだけでなく花の気=パワーも取り入れようと考えたのです。

3時にかかわらず、中国人は本当によくお茶を飲みます。これは乾燥している気候のせい。おやつには、ひまわりの種を初め、スイカやかぼちゃの種。自然の味を生かしたナッツ類やドライフルーツが多いようです。余談ですが中国料理の最後に食べるデザートは杏仁豆腐などさっぱりした味。これは料理に砂糖を使用しているから。フランス料理では砂糖を使わないのでデザートに甘いケーキなどを食べるとも言われています。

最近大人気の「飲茶」。中国のもののように思われていますがこれは香港が中心。それに「飲茶」の「飲」という字はガブガブ飲むときに使う漢字。お茶本来の味や香りを楽しむために飲むときは、「〓茶」「喝茶」をという字を使います。

お茶には色々な効能がありますが要は自分の好きなお茶とのめぐり逢い。ほっと一息つきたい時や自分を元気づけたい時、安眠をいざなう友達として、その場に応じた好みのお茶を探す旅に出てみるのもいいかも…。ただしこの旅は奥が深くなかなか手強い。くれぐれもご要心を!

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