世界の乳製品活用術 家森幸男京大教授に聞く

1997.01.10 16号 3面

長寿地域の食生活に共通する特徴は、とにかくそこでとれる食材を万遍なく何でも食べること。

たとえば魚を食べると身体にいいことは日本、地中海など世界中を対象にした私たちの研究で裏付けられていますが、コーカサスでは魚は全くとれない。それではどうしているかというと、それに代わるいいもの、乳製品をたくさんとっている、こういう訳なんです。乳製品の有効性については周知の通り。大変良質のタンパク質、カルシウムがたくさん含まれています。マサイ族がミルクを主食にしているのも同じことといえるでしょう。

私たち日本人がマサイ族、コーカサス、ビルカンバの人たちの素晴しい乳製品活用術を知る。だからそこで、マサイ族のキブユ入りのミルクや、グルジアのヨーグルト・マツオーニ、ビルカンバのチーズ・ケソそのものがなくてはいい食生活できないと思うのではなく、その真髄のいい知恵だけをいただき、私たちの周辺にある乳製品を活用する。身近にある食材をあますところなく利用していくことが、長寿への食生活の基本なのですから。

具体的にはたとえば、年輩の方でミルクをそのまま飲むのが苦手という方、多いですね。それでは、毎日飲む味噌汁に粉ミルク、脱脂粉乳を入れてみる。そうです、ビルカンバのケソをスープに入れるところから思いついたアイデアです。

味は普通の味噌汁と変わりません。味噌の大豆は身体中のカルシウムが抜けるのを抑さえる。一方粉ミルクはカルシウムを積極的に補充していく。こうしたダブル作戦をとれば、骨粗しょう症対策も万全です。

こんな風に、世界各地の優れた乳製品活用法をマネして、オリジナルの良い食生活法を模索して下さい。

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