気になる話題:HACCPって何?
O157の防止策として注目を集めるHACCP(ハセップ)。これは米国NASAで宇宙食を開発するときの、衛生管理の方法のこと。従来日本の食品検査方法は最終製品の抜き取り調査が主であるのに対し、原料の調達から最終製品まで、各工程ごとに病原菌や異物の混入などを管理、チェックするのが特徴だ。
日本マクドナルド(株)でも、肉・パン・乳製品・ソース・野菜・卵の全取引食材工場へのHACCP導入を、昨年末完了させた。三年前、アメリカのハンバーガーチェーン、ジャック・イン・ザ・ボックスがミートパティの加熱不備から、O157で死者を出す事件を起こした。米マクドナルドでは、これにいち早く対応、世界中のマクドナルドにおいてHACCPに基づく衛生管理導入を進めてきた。
「マクドナルドの微生物的設定は、お客様が、夏場特に一番の猛暑時期に持ち帰った時を設定しています」と同社クオリティアシュアランス部長・根岸正明氏。ハンバーガーの肉一枚に八〇項目以上チェックするという。ちなみに同社の全店舗の牛肉消費量は一万九〇〇〇トン、売上げハンバーガー数は六億四四九九万個と報告されている(昨年実績)。
「HACCPは、工場だけ店舗だけで完了するものではなく、お客様までの一連すべてが対象です」(根岸氏)。今回のHACCP導入によりゼンチク、ケンコーマヨネーズ、UCC、理研ビタミンなど取引先一〇〇社と、一五〇工場が扱う食材すべて、食中毒菌を一切持ち込んでいないことが立証される。万が一に備え二重三重の管理体制を敷いている。また、パートでも誰でもが、基準に従って廃棄処分なり前工程に戻すなりの判断、行動、記録ができるので、工場の作業効率も上がるという。