話題を追って 現代人の味方ケールジュース(青汁)

1995.11.10 2号 11面

いかにも苦そうな緑色のジュース「青汁」。体にはいいらしいがちょっとね…と敬遠されがちな存在だ。その原料に使われているケール(西洋キャベツ)は、緑黄色野菜の王様とも呼ばれ、カルシウムについては牛乳の三倍の値を持つという、エライ野菜。栄養バランスが重要視される現代人の食生活の頼もしい味方になるのではないか。夏の太陽を受けみごとに育ったケールは秋から春までが最も甘い味になり、今まさに旬という。

ケールを絞って作る生の青汁一杯(二〇〇cc)は、カルシウムを六七五mg含み、日本人の一日一人当たり必要とされる栄養所要量の六〇〇mgを十分に満たす。ビタミンAは九九〇〇IU(栄養所要量の約五倍)、他にB2、Cも多く含み風邪予防、肝臓の解毒等に効果があるといわれる。

ケールは南ヨーロッパが原産。品種改良を重ねて現在のキャベツに至るがその歴史は長く紀元前二〇〇年頃、古代ギリシャ人により初めて栽培された。

その後ケールは一七~一八世紀頃、海賊(バイキング)により海を渡る。海賊も航海中の食事情が原因で貧血や歯が抜け落ちるという症状に悩まされた。しかし、野菜を食べることでその症状が改善されることを知り、ケールの種子を持ち帰り、急速にヨーロッパ世界に広まった。しかしここで味が問題となる。どう調理しても食べづらい味のケールは次第に忘れられ、品種改良された野菜が主流になっていった。日本においても同様であったが、その栄養価値を見直され、再び脚光を浴び始めた。

現在ケールジュースの原料とされるケールは木だち性の大葉種で日常食べ慣れている巻き型キャベツとは違い一本の茎から一枚一枚葉が育つ。大きいものは高さ一二〇cmほどまで伸び、葉は縦三〇cm、横一五cmと人の顔より大きい。鮮やかな緑色の緑黄色野菜。

このケールだけを使用した青汁の店を都内に一〇店舗持つ「太陽青汁の会」(東京都国立市、0425・76・5588、小池松次代表)は、現在山梨県に一万坪のケール畑を持つ。虫食いされた葉に紋白蝶が舞っているのは自然の風景でむしろほっとする。配送は栄養素を懐さないよう朝・晩一日二回。畑から各店へ直送する。各店で水洗いし、当日分だけを絞る。野菜繊維が多く残るよう絞り機も自ら改良した。絞りカスは肥料として再び畑に戻し堆肥栽培に役立てる。

価格は一〇〇cc一五〇円、二〇〇cc三〇〇円、三〇〇cc四五〇円、二日酔いに効く、肌荒れに効果ありと口コミで広がりスタンドにはサラリーマンや主婦と幅広い年代層に人気。タッパ持参で家族の分を持ち帰る客もいる。一日の平均利用客は約二〇〇人。初めて飲むには飲みにくい味ではあるが、希望すればりんごジュースで割ってくれる。回数券を発行し常連客が多い。

また、フリースドライの粉末、顆粒、大粒も商品化しており遠方にも青汁ファンが増えつつある。

小池代表は本職に教育のプロとしての顔を持ち、小学校受験の塾「あすか会」も経営する。青汁は教室で父母にケールの葉を持ち帰らせていたがジュースにしてほしいとの要望に応え誕生した。現在教室に通う子供たちももちろん青汁ファンだ。

順調に育ったケールはまだ余裕がある。来年度には店舗を現在の倍の二〇店舗を目指すという。いよいよ身近になる青汁を最も甘い旬の今、是非味わい?その効能をテストしてみてはどうだろうか。

◆青汁もいろいろ

「青汁」と称されている商品は多種あるがその原料は様々である。今回とりあげたケールをはじめ、大麦の葉、セロリ、キャベツ、パセリ等をミックスし仕上げたものなどがある。一般的に「青汁」と呼ばれてはいるが、その素材は限定できないのが現状。飲む前にしっかりと素材を確認しておきたい。

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