毎日飲みたいフルーツジュース 心臓病やガン予防、今アメリカでブーム

1997.05.10 20号 6面

すっかり冷蔵庫に定着した、一○○%オレンジジュースやグレープフルーツジュース。子どもからは大人気だが、大人は「糖分が気になる」と敬遠する向きも多い。しかし、海外旅行でコンチネンタルスタイルの朝食をとると、コーヒー、トースト、スクランブルエッグ、サラダにオレンジかグレープフルーツのジュースがプラスされている。アメリカなどでは、朝食時に子どもは牛乳、大人はオレンジやグレープフルーツジュースをコップ一杯が習慣となっている。

アメリカにはフロリダという世界に誇る品質の果物生産地があり、フレッシュでジューシー、香りが高く、おいしい柑橘(かんきつ)が容易に手に入ることから、フルーツジュースの消費量が増えているが、最近さらに飲用増加に拍車をかけている理由として、柑橘類の効能・効果が解明されたことが挙げられる。

オレンジやグレープフルーツは、ビタミンCをはじめ、葉酸、カルシウム、カリウム、六種類のビタミンとミネラルなどの栄養素に加え、良質な繊維質(ペクチン)も豊富に含んでいる。

これらの栄養素を裏付けに、アメリカを代表する健康医療三大団体は、オレンジやグレープフルーツを「心臓病、がん、新生児障害の危険」を減らす食品として認可した。

免疫力を高め、お肌すべすべ

オレンジやグレープフルーツに含まれている栄養素について、具体的に解説しよう。

●ビタミンC 免疫力を高め、風邪や老化防止、疲労回復の役目がある。細胞を結びつけるコラーゲンの生成を促進する働きもあり、丈夫な肌、血管、骨、筋肉のためには欠かすことができない栄養素である。

善玉コレステロールを増やす働きもよく知られている。動脈硬化や高血圧、心臓病にも有効で、がんを抑制したり、鉄分、カルシウムの吸収を高めるなど、健康な体を維持していくために重要な役目を果たす。

貧血症や妊娠、授乳期の女性には

●葉酸 ビタミンB群の一つである葉酸がオレンジ一個に五○μg、グレープフルーツ一個には三○μg含まれている。葉酸はタンパク質や糖質の代謝を助け、ヘモグロビンや赤血球、核酸の合成に関与し、貧血を改善する。妊娠中や授乳期の女性には摂取が不可欠といわれている。

脳や脊髄に障害をもつ、神経管欠乏症と呼ばれる赤ちゃんが、アメリカでは毎年二五○○人以上も生まれている。妊娠する前の女性に葉酸を補給したところ、その発生率が低くなるというデータも出ている。

食物繊維が豊富

●ペクチン 食物繊維の一種、ペクチンも見逃せない成分。生で食べるよりは、ジュースにした方が効率的に摂取できる。ペクチンは水溶性で、身体の不要物を包み込んで排出する働きがある。血中のコレステロールを減らしたり、糖尿病にも効果が期待できる。

ほかにも、カリウムや細胞の酸化、老化を防ぐビタミンEなど、さまざまな栄養素が含まれている。

オレンジやグレープフルーツは、太陽の恵みにはぐくまれたパワフルな食品。爽やかな香り、甘酸っぱい味わいは、気分を爽快にしてくれる。

朝の「お目覚め飲料」として、アメリカでは毎朝飲まれているのは、こうした爽やかなイメージが定着しているからかもしれない。

スーパーの売り場を探検してみよう。オレンジやグレープフルーツの一○○%ジュースだけでなく、さまざまなものが品ぞろえされている。財布に余裕のあるときは、ちょっとぜいたくに、濃縮還元していないストレート果汁や、オーガニック(有機栽培)を買いたい。しぼりたての果実の香り、風味、味わいが楽しめ、フロリダの強い日差しや爽やかな風、真っ青な空が体感できるかも。

一○○%ジュースは、果物をそのまま搾った自然の恵みをふんだんに含んだ、無添加の健康飲料。大別して、濃縮還元とストレート果汁に分けることができる。濃縮還元は、一度濃縮(四分の一-五分の一が通常)したものを、製品化する際に水を加えて一○○%に戻したもの。ストレート果汁は、果実のしぼりたての状態をパックしており、まさに果実そのまま。よりフレッシュな風味が味わえる。

現代人の朝食は、コーヒーとトーストだけの味気ない風景が増えている。メニューの一つに一○○%ジュースを加えるだけで、栄養的にもパワーアップする。毎日の健康のために、一○○%ジュースを有効活用しよう。

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