気になる話題:和菓子の上手ないただき方
みんなそれぞれ、ヒトには言えない我流の和菓子作法をもっている。たとえばNさん流・豆大福の食べ方は「まず、赤えんどう豆を一粒ほじる。豆そのものを味わった後、大福をパンとつぶしビローンとのばして端からチビチビ味わう」。
こんな偏愛的な食べ方もイカしてるけど、黒文字(つまようじ)&懐紙のちょっとした場面でも慌てぬよう、スマートな所作も心得ておきたいもの。
「羽二重餅や求肥餅など、大変食べにくい餅菓子などには手を添えて、黒文字の先を使って一気に、半分に引き切っていただきます」と京都の老舗和菓子『末富』の山口富蔵氏。
おちょぼ口で、と思いきや、案外ダイタン。「人間のいちばん“マヌケな表情”は、口をポカンと開けた顔。ですから和菓子は、大きく切って、大きな口で食べるのがポイントなんです」。口を開ける回数を少なくできるし、餡と皮のバラバラ事件も避けられる。
また、黒文字を出されたからといって、必ずしもそれを使わなければならないわけでもない。「大切なのは楽しむこと。特別身構えたりせず、目で、舌で、心で存分に味わっていただきたいですね」。
和菓子は、『和』の菓子。作る人、ふるまう人、食べる人との心の行き来を感じるのが、“おいしく上手にいただく”コツなのかも。