百歳への招待「長寿の源」食材を追う:プルーン

1997.07.10 22号 14面

デーツのふるさとはイラン・イラクなどの熱帯地域。プルーンは西アジア。ともにミネラルたっぷり、酵素の働きで便秘も治すヘルシー食材だ。

(食品評論家 太木光一)

プルーンはミラクル(奇跡)フルーツと呼ばれて人気か高い。西アジアが原産。一千年前に西アジアを通りかかった旅人が路傍の野生スモモの種子を持ち帰り植えたのが始まり。ヨーロッパで発展し、さらにアメリカに伝えられた。特にカリフォルニアは適地となって大規模生産が展開され主要農産物となった。

高さが三~八mの落葉樹で1月には枝いっぱいの白い花をつけ美しい。6月下旬から7月上旬にかけて熟す。日本のあんずに較べて酸味が少なく甘いので生食にも適している。

西洋スモモは一般にプラムと呼ばれているが、プラムを乾燥するとプルーンと変わる。生食以外にドライフルーツ・ジャム・ジュース・ケーキ・パン・ゼリーなどに使われる。高級利用としてブランデーやアルマニヤックに漬け込んでアルマニヤックプルーンとして知られている。またシチュードプルーンとして柔らかく煮込んで、世界のホテルなどで朝食用デザートとして供され喜ばれている。

このプルーンの成分特性はすばらしい。

(1)糖分の高いことがあげられる。主として果糖による甘さで、プルーンエキスやプルーンジュースに加工されているが、砂糖の添加は必要としない。自然の甘さで十分なのである。

(2)ミネラルが豊富である。特徴としてカルシウム・鉄・カリウムの多いことが挙げられる。

果物は一般的にカルシウムが少ないが、乾あんず・乾ぶどうと並んで多く含む食品の三羽鳥。現在日本人の食生活にカルシウムの絶対的な不足が叫ばれている。カルシウムは神経を休め、イライラを防ぐ。不足すると頭脳の働きがにぶくなり、怒りっぽくなる。十分にとって骨太にして若ささを保つ必要がある。

また鉄の多い点でも果物の中ではベストテン入り。プルーンが増血に良いといわれる理由である。日本の女性の多くは鉄欠乏症貧血である。貧血の症状は痛むこともなく自覚症状がない。疲れやすく、忘れっぽくなり無気力となったら鉄不足のシグナルで補給が必要。またプルーンはカリウムの多い点でもベストスリー。カリウムはとりすぎた体内の塩分を排除するはかりでなく心臓機能・筋肉機能を調節する役目を果たす。欠乏すると知覚が鈍くなり反射が低下する。

(3)便秘に卓効のあるのがプルーン。果物の中で珍らしく食物繊維が多い。また熟柿やデーツにみるように酵素の働きで便秘を治す力が強い。欧米人は体験的にこの卓効を知りシチュードプルーンを愛用している。

プルーンは西洋の梅干の別名を持つ自然食品で、欧米ではヘルスショップやナチエラル食品店で販売されている。おいしくて価格も非常に安く健康保持の果物と呼べよう。生産国もアメリカを始めルーマニア、アルゼンチンなどに広がり、産出額も書実に増加。加工適性が広く、目茶でも安い種ぬきプルーンが容易に入手できる。ヘルス効果が大きくこれからも市場は拡大していくものと思われる。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら