読者のひろばスペシャル ここが知りたい<牛乳編>

1997.10.10 25号 6面

つい先日、東京の小・中学校で給食牛乳の異臭騒ぎがあった。毎日飲む牛乳をもっとよく知るために、読者からの質問を検証した。

Q わが家では、牛乳は一度に一週間分を買いだめします。家庭でのうまい保管の仕方を教えてください。

A 家庭の冷蔵庫で牛乳を保管する場合は、ドアポケットに入れるのが普通。ドアポケットは、冷蔵庫のドアが開くたびに外気にさらされるため、冷蔵庫の中では最も温度が高く約六~九℃。まとめ買いした牛乳は冷蔵室で保存するほうが安心だ。牛乳パックには「保存方法、一○℃以下」と書いてあるが、細菌の環境を考えると理想は五℃以下ともいわれる。「とくに夏場は設定温度を少し下げ、開閉はなるべく少なく、庫内はまめに清掃、そしてパックを開ける際はきれいな手で」(栃酪乳業)。

Q 先日、乳しぼりに初挑戦、また牧場で飲んだ牛乳のおいしさに大感激しました。以来、牛乳を買うたびに、いつ・どこでしぼられたんだろう、と見るようになったのですが、パッケージに書かれた「品質保持期限」とは、しぼってから何日間をさすのですか?

A 品質保持期限は、普通製造日から数えて約一週間(この設定はメーカー、商品によってまちまち)。しかし、製造日=搾乳日ではない。製造日とは、殺菌後、パック詰めをした日のこと。搾乳されてから製造されるまでの時間は、季節・気候・地域・集乳形態などによって影響され、二四~七二時間が一般的となっている。

Q 阪神大震災で大活躍したという“LL牛乳”。超高温処理したら栄養はなくならないのですか?

A LL牛乳=ロングライフミルクは、超高温滅菌した牛乳(一三五~一五○℃で数秒間)を、容器に無菌充填したもの。高温加熱されることと保存期間が長いために、一部のビタミンが普通の殺菌乳より低下することは避けられない。

しかし現在の日本人にとって期待される牛乳の栄養素は、まず第一にカルシウムで、次に良質なタンパク質。これらはLL牛乳でもまったく変わらない。無菌状態なので、冷蔵しなくても二カ月保存が可能。買いだめや、アウトドアにも最適だ(開封後は普通の牛乳と同じく腐りやすいので要冷蔵)。フランスやドイツでは飲用牛乳の半分以上がLL牛乳だという。わが国では装置や包装にコストがかかり製品価格も高くなることが普及のネックとなっている。

Q 「開封後はできるだけ早く」というけれど、冷蔵庫で保存したとして何日間で飲みきるべきか、目安を教えてください。

A 答えはなんと「当日」。開封後、家庭での取扱条件はマチマチなので「長くとも翌日」としかいえない、というのが製造サイドの回答であった。それにしても、安全に飲むためにはどうしたらいいものか。牛乳をコップに注いだら、そのまま出しっぱなしにせず飲みさしはすぐに冷蔵庫へしまう、といった家庭内での取り扱いももちろん、お店での温度管理状況(ショーケース外での突き出し販売)や店から家までの移動時間・環境(自転車、車)などにも注意したい。「買い物では牛乳は最後に買い、長時間外気温にさらさないよう、できる限り早く家に帰って冷蔵庫に入れましょう」(不二家乳業)。

▼牛乳の殺菌方法はいろいろ 乳牛から搾乳された生乳は、食品としての安全性と保存性を確保するため、加熱殺菌されてから市場に出される。現在、日本の牛乳殺菌方法の主流は「一二○~一三○℃で一~三秒」の“超高温瞬間殺菌”。この利点は、効率よく大量処理ができ、日持ちが良いこと。牛乳選びのトレンド“三低”-低脂肪、低価格、低温殺菌や生産・流通技術の向上で、最近は生乳に近い殺菌方法である「六二~六五℃で一五秒」の“低温殺菌”も増えている。ちなみに、どのような殺菌方法でも、牛乳の栄養価にはほとんど差がない。

▼殺菌温度の違いによって味は変わる? 一般の主婦を対象とした牛乳の嗜好調査(平成7年度)では、一二○℃二秒殺菌の牛乳と一三○℃二秒殺菌の二種類を飲み比べたデータがある。その温度差、わずか一○℃だが、一二○℃は「後味のよさ」「くせのなさ」が好まれ、一三○℃では「コクがある」「濃厚感」がいいという結果が出た。

取材協力=関東協同乳業(株)、小岩井乳業(株)、三協乳業(株)、栃酪乳業(株)、榛名酪農業協同組合連合会、不二家乳業(株)、よつ葉乳業(株)、中央酪農会議、日本乳業協議会

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