らくらくリラクゼーションWHAT’S:タラソテラピー

1997.10.10 25号 15面

タラソはギリシャ語で海という意味、テラピーは英語のセラピーと一緒で、合わせて海洋療法と訳されるタラソテラピー。女性向けの新しいエステティックと思われがちだが、いまから二五○○年前のヒポクラテスの時代からその概念はあり、フランスでは健康保健制度に組み込まれた、れっきとした医療なのだという。タラサ志摩(三重県鳥羽市、電話0599・32・1111)を取材した。

このタラソテラピーセンターで使用している海水は、ホテル前の沖合い七二○㍍、深さ一二㍍で常時取水している“生きた海水”という。「汲み上げた海水は治療効果を失わないように四五℃を越えない温度まで除々に加熱し、二四時間以内に使い切ります。療法に使う温度は三五℃~三七℃で、海水に含まれるプランクトンが死なないように注意しています」(タラソテラピー部・長島光男マネジャー)。

こういった状態の海水に身体を浸すと、海水中のミネラルやオリゴエレメントが陰イオンとして皮膚を通じて浸透し、それが身体の各所に効力を表すという。例えば、イオン化カルシウムは骨、カリウムは筋肉、マグネシウムは運動神経に向かう。

さらに療法には徴粉化した海藻が使われる。「海藻は、ビタミン、タンパク質、ミネラルなどの海水に含まれる成分をスポンジのように蓄積するんですね。フュキュス(ヒバマタ)という海藻はマンガン、鉄の蓄積量は海水の一万倍です」。

「生きた海水を使うためにもですが、沿岸部の海洋性の気候の中で行わなくてはダメなんです。呼吸器に問題のある人は海沿いに行くと良いといわれますね。これはたくさんの酸素や海藻から出たヨードを鼻から吸うことによって、心肺機能が高まっていくからです。それで海洋性の気候の中で、海水、海藻、海泥を用いて行う療法というのがタラソテラピーの定義とされます」。

リウマチや骨折、神経疾患や循環器系疾患、何よりも現代病の原因となるストレスの対策に大いに効果を発揮するという。“人間が生まれてきた”とされる海。その母なるエネルギーをもらって元気になれれば最高だ。

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