糖尿病専門医夫妻が開発した食品「降糖粉」

1998.06.10 33号 20面

「成人病皆無の村」。そんな現代人の理想郷が、中国西南部にある。二○○○メートル以上の山間地帯のため、野菜や果物があまり摂取できないにもかかわらず、糖尿病・心臓病・高血圧症などの患者がみられないことが分っている。中国国家プロジェクトの少数民族栄養調査によれば、その地域の住人が主食とする、にが蕎麦にその秘訣があるという。

現在、糖尿病患者激増中の中国では、このにが蕎麦を主成分にして作られた“降糖粉”という食品が、血糖値を下げる作用をもつとして大変注目されている。この開発者であり糖尿病専門医の葉秀華女史が先日来日した。

葉医師の開発した“降糖粉”は、にが蕎麦をベースに中国南瓜・黒大豆・山芋などを配合し開発した自然食品。栄養価と食物繊維の含量は、欧米糖尿病学会の推薦した構成比率に適合しており、中国国内だけでなく、外国にも輸出され好評を得ている。

「中国の四病院で行った臨床試験では、九五%の患者に有効性が認められました。糖尿病で痩せこけた患者が、長期間摂取で体重が増え、空腹感も消えたほか、血液粘度も正常になりました。“降糖粉”は糖尿病や高脂血症の予防はもちろん、糖尿病患者の合併症の予防と進行抑制にも極めて有効といえます」。

「わが家では、餃子やうどんに“降糖粉”を混ぜています。私の夫も糖尿病でしたが、食べ始めて一カ月で効果がみられました。以来まじめに食べ続け、症状もすっかり落ち着いて。当初は一日一二五グラムを三回に分けて摂っていたが、いまは五○グラムを二回に分けて食べて適正値を維持しています」。

“降糖粉”中の、にが蕎麦の分量が多くなれば、効果は上がるが苦くなってしまう。その配合比と味の改善について研究をする上で、ご主人の意見は最大のヒントとなったという。そんなご主人の協力と、葉医師のご主人への思いやり。“降糖粉”は、夫婦が二人三脚でつくり育てた食品なのだ。

「糖尿病に罹ったからといって、失望したり悲観しないで。強い意思をもって良好な精神状態を保ち、長く食事療法を続けて下さい。血糖値が効果的に下がれば生活を楽しめます。少しでも多くの糖尿病患者に降糖粉食品を食べていただきたい、それが私の夢。みなさんの長寿を祈っています」。

●にが蕎麦は、文字通り苦みがあるかわりに、ルチン含量が極めて高い。これは毛細血管の弾力性を増し丈夫にするので、糖尿病性網膜症のほか、高血圧症や動脈硬化などの予防にも有効。また、血脂を降下させる不飽和のオレイン酸などの脂肪酸、ビタミンやミネラルも豊富に含む。

●取材協力=(株)横浜国際バイオ研究所

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