百歳への招待「長寿の源」食材を追う:「オクラ」粘りが精力増強にも

1998.12.10 39号 11面

オクラの原産地はエチオピアを含む北アフリカ地方で、日本には明治初めに渡来した。アオイ科の野菜で仲間にトロロアオイやハイビスカスがある。従って花が美しく直径一〇センチにも達する大輪が次々と咲く。

オクラは真夏の野菜で、生育が早いため値段も安く、またハウス栽培も容易とあって周年供給も可能。盛夏や冬枯れの野菜の少ないシーズンに出回るので意外にもてる。

品種は一般的に青さや種が作られるが、クリムソン・矯性のドワーフ・五角などが代表的。赤さや種には美しい紫紅色のさやをした品種もあり、料理のいろどりに一役買っている。

輸入種を含めて多くの品種があり、草丈が高くて主枝によくつくものと、低くて主枝によくつくものと、主枝にも側枝にもよくつくものがある。いずれも生育は旺盛である。

オクラは植物名で「OKRA」と書く。日本でもOKURAと呼ぶが、生育が早いのでこれを作ると財産ができ、お蔵が建つからそう呼ばれるようになった、といわれている。

外観は唐辛子に似ているが食べ方はまったく異なる。特有の風味と粘りのある若い果実を刻んで生食する。スープやポタージュにも入れる。生食では食塩かマヨネーズをつけて食べてもよい。サラダの材料にも向く。

輪切りにして納豆と混ぜて食べると納豆の粘質物と相互の粘りの作用が増しいっそうおいしくなる。その他吸い物の実・茶碗蒸し・味噌漬け・酢漬け・グラタンなどにも使う。

天プラの材料に入れたり、すりおろしてもみ海苔をかけ二杯酢にしてもよい。サッとゆでてバター和え、クリーム和えにも利用できる。米国ではオクラのピクルスの瓶詰めが販売されており、サラダ・カクテルの材料になる。

オクラは野菜として粘りがあるため信者も多い。特に精力の弱ってきた人には良いといわれている。オクラの果実は空に向かってピンとたっているので、安いトッカピンだという医者もみられる。

成分をみると一〇〇グラム当たり三三キロカロリー。カルシウム九五、鉄〇・六、ビタミンA一九〇国際単位、B1〇・一三、B2〇・一〇、C一六ミリグラムなど。野菜としてカルシウム、鉄分、ビタミンA・B1・B2などが多く、バランスの良い野菜といえよう。

主産地は高知県で関東ではわずかに千葉・茨城県がみられる。春夏は露地物であるが、秋冬はビニールハウスで加温して育てるので周年供給が可能。厳冬期には重油コストがかかるのでやや高値の傾向がみられる。

オクラの品選びはさやが柔らかく簡単に折れるものが良い。若いさやで濃い緑色のものが良品である。

オクラの良さは、

(1)周年供給がみられ価格が比較的安い(2)料理の利用範囲が極めて広く、柔らかくお年寄りにも向く(3)栄養バランスが良く成分的に優れている。

生産は急増し、さらに人気を呼ぶと思われる。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら